2ー33
扉が勢い良く閉まると視界が一気になくなる。目がなれるよりも先に遠くで切れかれの蛍光灯が不連続に点いたり消えたりしている。そこにどうやら曲がり角があるみたいだ。進まなければ終わらないので取りあえず進んで行くことにする。
「ちょっと待ってよ」
なにか重いと思ったら絵理ちゃんが私の服を引っ張っていたようだ。私じゃなく森谷くんにやれば喜ばれるだろうに。と森谷くんの方を見ると森谷くんも私の服を引っ張っているようだった。……なんだこれ。香川くんはというと人知れず森谷くんの腕にしがみついていた。ちょっと待て言い出しっぺがそれでいいのか?
直ぐに曲がり角に着く。なにもなく曲る。
「きゃぁ!!」
絵理ちゃんの悲鳴が耳を刺す。
「どうしたの?」
「いまそこなにか通った」
指さしたのは私の後方だった。
「鏡だよ多分」
「え? か、鏡か」
「驚かせるなよー」
進みが遅すぎやしないか。そんなことで怖がっていたらこの後大丈夫なのか?
「よし! 進もうぜ!」
「う、うん」
皆が進行方向を向く。溜め息を吐いて顔をあげる。あれ? 今誰かが通った様な……。そういう仕様なのかな。
進んで行くと机や椅子で進めない場所が出てきた。床には血で左の部屋を指していた。
「入りましょうか」
「ここはオレが」
と、とうとう男を見せようとする香川くん。しかしながら扉に触れようともしない。
「どうしたの?」
「いや、電気ビリってこないか心配で」
「お笑いじゃないんだから平気」
うじうじしている奴を差し置いて扉を開け、中に入る。
ここは病室だろうか。ベットが何台かあり、そのひとつの脇に人が横たわっている。あれは襲ってくるやつだ。
そう思ったら直ぐに絵理ちゃんを先頭にする。
「ちょっと待ってどういうこと!?」
「いや、ここが怖いポイントでしょ」
「え、やだ行きたくない」
「そう言わずに」
と背中を押す。力いっぱいに逃げようとする絵理ちゃんを上手く押しながら奥にある扉へ進んでいく。例のベットを過ぎても襲ってこなかった。これは予想外だ。
絵理ちゃんもホッとしてむしろこの部屋から逃げるように扉に手を掛ける。
「え? 開かない……」
次の瞬間横たわっているゾンビ的なのが奇声を上げて起き上がり私達目掛けてゆっくりと寄ってくる。これは中々面白い設定だ。
「やだ! やだ!」
絵理ちゃんは扉を開けようとするがやはり開かないようだ。男ふたりも必死に壁にくっついているがそんなんしてもなんにもならない。そろそろ私達に手が届く位のところで扉からかちっと言う音が聞こえた。あ、ここで開くんだ。
ゾンビ的なのが両手を上げて襲いかかってくる。そこで上手く扉が開き先に3人が倒れ込むように部屋から出る。私はゆっくりと出て扉を閉める。手を上げるだけで降ろしはしない様だった。