2ー28
食べ終わると直ぐに絵理ちゃんは私を連れてトイレへと向かう。鏡を見て自分の顔の赤さに戸惑っている彼女を見ているとふと気になったことを聞く。
「やけに仲いいよね」
「え!? そうかな?」
照れるような赤さに変わる。どうやら意味を取り違えているようだ。
「香川くんとね」
ギロっとした視線を感じると私は1歩下がってしまった。
「それは気の所為」
一気に冷静になったかと思えば溜め息まで吐く始末である。まぁ、そんなことは置いておこうか。少し怖いし。
「んで、間接キスのご感想は」
次の溜め息でまた顔を赤らめ、満更でもない顔をする。
「甘かった」
ふふっと笑いを零す。こりゃ、完全に病の領域だ。少し冷めた目で見ているとそれに気付いたのかにやけるのをやめようとするが、勝手に口が動くようだった。
特になにか話があったわけでもなく、火照りを冷ますために入ったようだ。少しして出て2人の待つテーブルに戻る。
「大丈夫?」
「うん。もう平気。心配かけてごめんね」
森谷くんは私の顔色を窺いながら聞いてくる。意識もはっきりとし、まともに立っていられる。こうして考えると結構迷惑かけたなと思った。
「次行こうぜ!」
突然立ち上がる香川くん。
「ここら辺にお化け屋敷あるみたいだから行こうぜ」
やけに楽しそうだ。何に対してそんなに勇んでいるのか。それは抱きついてくれるの待ちなのだろうか。それなら全く残念な結果で終わるだろう。
「いいけど、いなくならないでね?」
助言の様に言うと男どもは何を勘違いしたのか勇んで返事をした。まぁ、いいのだけど。少なからず私が驚く事はあるだろう。




