2ー26
「大丈夫?」
残り少し。森谷くん中心にわいわい楽しく話していたが、話しに参加せずにいた私にどうやら気づいたらしい。
「ものすごく顔色悪いけど」
「大丈夫、貧血かもしれない」
視線をそらして弁解する。
「もしかして怖い的な?」
「そ、そんなわけないじゃない!」
香川くんが驚いた顔をするが、どうやら勘づかれたようでニヤリとする。
「違うって言ってるんだから」
絵理ちゃんが香川くんの頭を軽く叩く。
「暴力はちょっと」
「いいのいいの。コイツは」
絵理ちゃんが笑顔で言い放ち、とうとう順番が来たようで一番乗りでジェットコースターに乗る。
あぁ、覚悟を決めるか。
そして、気がついたら売店のイスに座っていた。
「あ、大丈夫?」
「あれ? ジェットコースターは?」
「もう終わったよ」
「そうなの……か……」
2人だけ。森谷くんが心配そうに私を見つめる。まだ意識が朦朧としているようで状況を上手く判断できていなかった。
「やっぱり顔、白いね」
ふとオデコに手を触れられる。当然の如くしっかりと体温を比べている。
意識が覚醒すると共に手から逃げる。
「も、もう平気だから。ホントに心配しないで」
勢いで立ち上がると視界がグルンと回る。
「あぶなっ!」
1度目を閉じて開けば目の前に森谷くんの顔があった。これは、本当にヤバイやつみたいだ。諦めて支えられてる体を委ねる。
「ありがとう」
「よかった……」
ため息のような声を出したかと思うと遠くから声が飛んできた。
「あらあら、お邪魔だったかしら」
「明らかに邪魔だろ。他行こうぜ」
照れながら笑う森谷くんが私を椅子に座らせ、2人の持っているソフトクリームの1つをお礼と共に頂いていた。