2ー23
とてつもなく賑やかだ。ついさっき痛み止めを飲んだが頭痛が辛い。子どもたちの楽しむ声、大音量の音楽、空から落ちてくる絶叫、何もかもが痛い。
私は指定された時間の30分前に来ていた。いや、これは待った? がやりたいわけではなく、待たせるのが悪いからなんなら早めに来た方がいいよなとか考えた挙句に、すみません楽しみで早起きしました。
木の陰で待ちながら自販機で買った清涼飲料水をちまちまと飲んでいた。炎天下になる様な予感さえある日差しを恨めしく思う。なんだそんなに元気なのかと。
そんなこんな待ち合わせの時間の10分前に森谷くんと香川くんが来た。
「おはよう」
「もしかして待った?」
「いや、私も今来たところ」
お決まりのセリフを呟く。にしても知子の奴は相変わらず時間に来ない。しかも自分で決めたのにも関わらず30分とか余裕で遅れやがるから厄介だ。
「楽しみだね」
「オレなんか寝れなかったし」
「小学生かよ」
「こういう時って楽しみでさ、寝れないし早く起きちゃわない?」
ぎくっ! いや、私は早く寝た。
「僕はないね」
「いいなー森谷はー」
飲み物を飲む。温く甘いものが喉を通り体全体に行き渡る、そんなイメージをしてふと目の前の女性に目を向けた。
「ごめん。待った!?」
黒髪ロング、ふりふりのワンピースはアイボリーの様に淡い色をしていた。バッグも同じ色で手に持ち、ヒールは決して高いものではなかった。
一瞬誰だかわからなかった。それもそうだ。声と見た目が明らかに違ったからだ。
その答えが頭で整理出来た時に、私は口につけていたものを吹き出し、むせて咳き込む。
「大丈夫!?」
少しして落ち着いたところで、問わなければならないことが多く頭を過る。
「どうして。どうして来たの? どうして?」
そう聞いた瞬間、知子からメールが来る。私はそのままそれを黙読し始める。
「あの、私もよくわからないんだけど」
内容はこうだ。ごめーん! あれ来ちゃったからバトンタッチしといた! 後はよろしく! お土産はお菓子がいいなー、だ。よし、盛大に無視といこう。既読っと。
「ごめん、」
私はこの状態を詳しく説明する。