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2ー22
どうして、どうして来たの。どうして。
言葉にしたいのに苦しさと嗚咽で言葉を遮断される。
「大丈夫か!?」
持ってきていた朝顔の花を床に落とし私に駆け寄り、手を握ってくれた。
「ってことはこの子見えてるよね」
「でも、こうでもなしないとお花が……」
「一人称なんだから、もっとリアルにこの子のビジョンで世界を見ないと」
と言うやり取りがあって落ち込んでいる。ただでさえお腹が痛いと言うのにあのクソ野郎は……。
夕食後の鎮痛剤を飲み、部屋でやり直しを貰ったところを眺めながらどう直そうか悩んでいた。私にだって譲れない設定があるのだから。
と、グチグチ言っていたら究極的な眠気に襲われベットに入る。夏もそろそろ本番でクーラー無しでは簡易的サウナになるほど驚異的な暑さを過ごしている。明日は休みでありお祝いの気分ではあるが、しかし残念なことにデートの予定がある。
直しは夏休みに入ってからでも良いかと考えながら目をつむる。
手を握られて、安心したあの子が安らかに眠る、そんなような感覚に私は小さく欠伸をした。