2ー21
「こ、告白なんて……」
「好きなんでしょ?」
理由なんていらない。それが恋だろ。と言った恋愛のレール。私はそういう猿でもできることは嫌いだ。それを強要することすら、もはやイジメを行っているとも取れるが、私にはこの方法しか考えられなかった。
「その気持ち伝えないとさ。他の人と、森谷ファンクラブ会員と同じ位置にいても、振り向いてもくれないよ。誰よりも、1歩でもリードしないと、恋人なんかにゃなれないよ」
それを聞く彼女はもじもじし始める。きっと告白する自分を想像して恥ずかしい思いでもしているのだろう。
「ファンクラブ会員でいいなら、なにもしなくてもいいよ。でもさ、私に頭下げてくる程なんだから、本気なんでしょ? 自信持ちなよ! 絵理ちゃんは出来る子だ!」
ブーメラン効果というものを知っているだろうか。今、私はそれにあった。何故か自分の言葉が自分に刺さる。
「ありがとう。そうだよね。やらなきゃわからないよね!」
「あ、なんなら、1ついい?」
落ち込んでいた顔から今じゃいい顔になっている。可愛い。だけど、常に感じている違和感は拭えなかった。それを、直してもらってみようと思う。
「なに?」
「完全に私の好みなんだけど、髪の色戻してみない? メイク、薄めてみない? コンタクト、普通のにしてみない?」
彼女には意味がわからないだろう。しかし、いや間違いなく和の方が似合うだろう。それこそ、ともちゃんよりだ。
「いい子ちゃんになれって訳じゃないんだ。その方が、可愛いと思って」
「ホントに?」
「うん」
力強く頷くとお昼終了のチャイムが響く。
「あっ!」
「戻るか」
彼女の肩を軽く叩き、階段を登る。