2ー18
休み時間、ポーチを持ってお手洗いへ向かっていると絵理ちゃんが隣の教室の前で黄昏ていた。俯いてつまらなそうに空気を蹴る素振りをしていた。
昨日のこともあり気にはなったが、おトイレの方が先だった。
行って戻ってくると、彼女はその場所から去ろうとしていた。私は無意味に止めることもせずコソコソとその様子を見ていた。
教室に戻り際、隣の教室をちらっと見た。そこには、この学校で有名な悪軍団がたむろしていた。その輪の中に、香川くんがいることなんてちっぽけなくらい、その光景は異様だった。
何をしているかなんてどうでもいいことだった。目を合わせるな、暗黙の了解に私は従った。
教室に戻ると、絵理ちゃんの表情が目に入った。あんなに悲しそうな顔、見ていられない。私は絵理ちゃんに近寄ろうとしたが、ちーちゃんが私の目の前に現れ止められる。
「流石のお節介おばさんでも、こればっかりは首を突っ込んじゃいけないと思うぜ、ボクは」
それだけを告げて彼女は自分の席に座る。この情報通は何を知っているのだろうか。って言うか僕っ子だったか?
ただでさえ痛い頭を抱えて私は席に戻る。次の授業もしっかりと聞かねば。小説の手直しを考えている時ではない。