表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先  作者: kazuha
青天の霹靂
25/211

2ー12

 私とともちゃんでいちゃいちゃしていても、この染み付いたようなピリピリ感は消えなかった。絵理ちゃんと彼との間にどんな出来事があったのか気になる。決してネタ探しではなく、友だちとしての心配だ。

「おい、香川」

 森谷くんがそっぽを向いている、少しガラの悪い感じの少年を肘でつつく。

「自己紹介」

香川(かがわ)慎太郎(しんたろう)

「あ、思い出した」

 ともちゃんが急にそう言うとともちゃんが彼の説明を始めた。

「サッカー部の子だ。いつも飯田先輩に怒られてる」

 そこまで聞くと舌打ちが聞こえた。

「今年に入ってから見ないとは思ったけど」

「なんで辞めたのよ!」

 構えていなかった大声に驚くと自然と周りの視線が痛く感じた。それに絵理ちゃんも気づいたのか申し訳なさそうに会釈して息だけでスイマセンと呟いた。

「いいじゃん別によ」

「よくないよ」

 急激なシリアス展開に1番困っているのは森谷くんだろう。これじゃデートが台無しだ。かくいう私もどうすればいいのか困っている。

「いいだろ、オレの勝手じゃんかよ」

「勝手とかじゃないじゃん」

「なにが違うんだよ」

「ちょっちょっ待ってね」

 これじゃらちがあかない。2人の会話を止めると自然と静かになり、また2人がそっぽを向いてしまう。

「なんかよくわからないけど、どうしたの?」

「どうもしないよ」

「いや、どうもしないとかじゃないよね、流石に」

 詳しく聞く気にはなれなかった。余計悪化させるだけだと思った。こんな時、どうすればいいのか全くわからなかった。

 沈黙が長く続くと絵理ちゃんが急に立ち上がる。

「ごめん、帰るね」

「ちょっと!」

 私はそそくさと帰る彼女を追う。追いついたのは店を出てからだった。湿った空気と涼しい風が、西日のグラデーションを深く刻む入道雲の存在をより明確に表していた。雨が降る。

「逃げちゃダメだよ!」

 彼女の腕を強く掴む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ