2ー10
待ち合わせは極身近な都会だった。私が着いた時には既に絵理ちゃんとともちゃんが会話もなく待っていた。いや、服のチョイスに困っていたのはあるがそこまでまたせた記憶はない。私は2人の間に入ってすぐさま実のない話しをする。
学校終わりで待ち合わせのため日は暮れ、この駅で降りる人より乗る人の方が多い。後方の本屋さんには未だに店頭に置いてある私の小説に少なからず喜ぶと彼らは来た。
「ごめん! 待った?」
お決まりのセリフに待ったと本音を出す。どうやら森谷くんは1人の男性を連れて来たようだ。まぁ、編入してまだ日が浅いにも関わらずこのような会に参加していただける人なんて、よく考えれば少ないはずだ。むしろ、見つからなかったらと考えると悪寒がした。
「あ、」
「あ、」
それは思わぬ展開だった。絵理ちゃんと連れの男性が見つめあって時が止まった。一瞬ドキッとさせるようなこの展開に固唾をのんでポケットに忍ばせていたメモ帳を出す。
「なんでお前が!」
「それはこっちのセリフよ!」
言葉を強めて2人は言い合いを始める。その様子を殴り書きする。腐れ縁の言い合いと言うものはこうも甘酸っぱく行われるのかと思うと脳にビビっとくる。
「ちょっとちょっと。2人とも、ここじゃアレだからさ。あそこ行こうよあそこ」
咄嗟に仲介に入る森谷くんが指さしたのは有名な喫茶店であった。
「あ、私あそこのミルクレープ好きー」
ともちゃんがひとりとことこと歩いていく。それを見て森谷くんが、
「ね?」
と後押しすると2人はそっぽを向きバラバラの足並みでゆっくり向かっていった。
ふと我に帰ってメモ帳をしまうと森谷くんがクスクスと笑う。
「何してたの?」
「そんなの、勉強に決まってるじゃない」
「そうなんだ。変だね、それ」
「良く言われる」
悟られる前に私は駆けてともちゃんの所まで行くと絵理ちゃんも着いてきて、女子3人で店内に足を踏み入れた。




