6ー7
何を今更、言いに来たのだろうか。
何を今更、懺悔しに来たのか。
何を今更、仲直りをしようとしているのだろうか。
これじゃぁ、私が被害者じゃないか。
小説を書かなくなったのは自分の意思。
恋愛を諦めたのも自分の意思。
喧嘩をしたのも自分の意思。
傷つけたのも自分の意思。
お互いが加害者で……、
お互いが被害者で……、
その手紙をくしゃくしゃに丸め、外に投げ捨てる。
謝らない。
謝ったら、なんのために全てを捨てて、前を向いて進んできたのかわからない。
過去を闇に葬ってがむしゃらに、信じる道を進みたい。
それを止めることは、したくなかった。
「あぁあ゛! もう、どこよ! どこにもいないし、スーツびしょびしょだよぉー!」
今回の締め切りは諦めることにした。残り3時間。書けと言って書ける時間でもなくなってきた。
そんなことよりどこにもいない。
1番最初の時のように、教室にいなかったし、
その次の時のように駄菓子屋のおばちゃんに匿ってもらってないし、
その次の時のように忍者の如くプールに5時間ぐらい潜ってないし、
その次のように町中を走り回ってないし、
どこにいるんだろうか。もう私の知り尽くしている隠れやすい場所は全て探したのだが……。
どこに行ったんだ、本当に……。
なんとなく探すのも諦める。
どうせまたひょっこり顔を出すだろう。
空を見上げる。怨念の様な雲が段々と薄くなってきた。
そのうち晴れるな。
踵を返した。
少しだけ休憩。
虹を見に行こう。
そう思い、私はあそこへ向かう。




