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虹の先  作者: kazuha
青天の霹靂
21/211

2-8

 その日家に帰ると急に雨が降り始めた。足早に帰ってきたかいがあったというものだ。

 靴を脱いでいつものように部屋に戻り、着替える。

 髪を縛り、パソコンを開いてひと通り書き終えたその物語を読んでいく。


 病気と知った。

 長くない命だと告げられた。

 親を嫌いになった。

 彼を好きになった。

 卒業をした。

 彼に告白された。

 断った。

 死にそうになった。

 彼がお見舞いにきた。

 気持ちを伝えた。

 退院できた。

 2人暮らしを始めた。

 予定より長く生きれている。

 余命がなくなった。

 病気が治った。

 幸せ。

 結婚を決めた。

 病気が戻ってきた。

 死にそうになった。

 死んだ。


 読み終わって私は立ち上がり霧ガラスを開ける。隣の家の男子は大雨なのにも関わらず窓を開けて勉強をしている。

「おい、暇なら愚痴を聞いてくれ」

 そう言うとあいつの顔がひょっこりと出てきた。

「なんだい?」

 まったく、優しいやつだよ。受験勉強もそろそろピークだろうに。同情にも似た感情を抱き、モヤモヤと思っている事を言う。

 編入生にデートを持ちかけられた。嫌だから複数人でお願いした。そうしたら編入生に一目惚れした子が行きたいと言いにきた。それで、私、ともちゃん、その子でデートをする事になった。全てを流れるように伝え溜め息を吐いた。

「あぁ、森谷って子かな?」

「知ってるの?」

「もちろん。女子たちがわーきゃー言ってるよ」

「あんたもその標的だったでしょ」

「そんな時代もあったかな」

「現役、黙れよ」

「黙っていいなら勉強に戻るけど」

「ごめん。そうじゃなくて、私どうしたらいい?」

「どうしたらって? 森谷くんに好かれる方法を聞いているのかい?」

「違う。どうやったら2人をくっつけることができるか」

「難しい事聞くねー」

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