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菊川瑞希さんへ。
こうやって手紙を出すのは初めてですね。
作品全て読ませて頂きました。それがもう読めなくなってしまうのは悲しく思いました。
その後はどうでしょうか。噂では懐かしの出版社で忙しく働いていると聞きました。
それを承知でこの手紙を出させて頂きました。
もし、読まれているのであれば、ひとつだけ、悩みを聞いてください。
聞いていただくだけで結構です。返信は望んでいません。
私には高校時代、喧嘩別れをした友達がいます。それは、たったひとりの男性を巡るものでした。
友達はそういうことと認めていませんでしたが……。
今ではその男性と結婚をし、今、新たな命を授かりました。
なので、挙式を挙げようと思います。
それで、挙式にその友達が来てくれるかどうかが心配なのです。
私は、あの時のことを許しています。
友達は私のことを許してくれていますでしょうか……。
いままで、ずっと黙っていました。全部知っていました。
好きなことも、
書いていることも、
悩んでいることも。
全部知っているのに、知られたくないことだと考えて、聞くこともしませんでした。
しかし、それが地の果てまで落ち切ったときにそれを過ちだと感じました。
悩んでいるのに何もしてあげられなかった。その罪悪感が今の私の全てです。
あの時、私が友達に相談してあげられれば、今でも小説家でいたのかもしれないなんて思うとなおさらです。
私を許してくださいますか?
結婚式に来て、頂けますか?




