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虹の先  作者: kazuha
エピローグ
208/211

6ー5

 全てが終わった。菊川瑞希という私の全てが。

 それと同時に菊川瑞希という第二の人格が消え去った。

 いいことなのか、悪いことなのか。

 後悔してるのに、清々しい。

 複雑な感情にこれ以上はない戸惑いを感じた。

 人生の転換。人はきっとそういうだろう。私も同意する。

 でも、それだけじゃなかったと思う。


 私は傘をさした。突然の雨。まだ夏でもないのに、ゲリラ豪雨ってやつか。

 溜め息を吐きながら未だに行方不明のあの子を探している。

「最近の子は……。嫌なことあったら直ぐにどっかに逃げるんだから……」

 街中を歩きながらあの子の居場所を探している。

 締め切りが残り5時間なんだけど……。間に合うかなぁ……。


 それだけじゃなかったと思う。

 そう思ったのは実は最近になってからだった。

 最後の長編「虹の先」の発売後、ファンレターが通常の10倍くらい多く届いた。いつも通り全てを読んでいた。

 普段くれない方から多く貰った。最後だからありがとうを伝えるために送ってくれたり、娘が読んでいて、やめると聞いて大泣きしたとか、色々と書いてあった。

 あと、いつもくれていた子は1ヶ月に1通、1年間くれた。それ以降は来なかったけど。

 ファンレターに溺れる日が2年間あった。

 出版社は私ならと簡単に内定をくれ、就職には困らなかった。そして、今の様な仕事をやらさせてもらっているのだが、始めた当初はとても困った。

 菊川瑞希に読んで欲しくて来ました!

 そういう作家さんが後をたたなかった。どうしてここにいることが知れたのかは定かではないが、先輩が行きなさいと言うので全てに目を通して出版できそうかどうか、できないならなぜそう思ったのかを回答した。ひとりひとり。

 今でもそういう人が絶えない。から早く戻りたい……。明日までに読まなきゃいけないもの、5個ぐらいあるのに……。


 ファンレターが途切れた、ある日。

 1通の手紙が届いた。

 差出人不明の手紙が。

 久しぶりに届いた手紙にさほど気にすることもなく開いた。

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