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あの後私はいつものペースで書き進めていた。今思えばものすごいスピードである。菊川瑞希が天才と言われたのも、書くスピード、シナリオ性、そしてメッセージ性の強さだった。短期間で書いたのにとても面白い作品であった。
自分で言うのも馬鹿らしくて恥ずかしいのだが。
何人かの作家さんをかけもって始めて知ったことである。私、狂ってるなと思った。
小説も8月くらいで一度休暇に入り、受験勉強を始めた。そして、苦もなく合格。日頃の勉学のおかげだった。
大学に入ってから、楽しかった。
自分と言うものを知り、そして限界を知った。
大学からある物語を考えていた。今では最高の名作と呼ばれている菊川瑞希最後の長編である。それを書き始めてから、他の話が書けなくなったのだ。
年齢は知識である。そんな言葉もあるが、若さは力という言葉もある。
無駄に知識を集めすぎ、率直な物語が書けなくなった。それを大人の味と担当の人、今では大先輩が言っていたが私には理解出来なかった。
書き手にしかわからない、この感覚。物語に入って臭い、熱さ、冷たさ、風、様々な要因が知識として確固として私にある。
いわゆるテンプレート化されてしまったのだ。
だからつまらなく感じてしまった。




