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虹の先  作者: kazuha
虹の先
201/211

5ー52

「着いたわよ!」

 猛スピードで駐車する。周りの人は大きく避け、この車を見ている。

「ありがとう」

「早く行ってきなさい。ここで待ってるから」

 車から飛び出る。

 離陸時間まで残り1時間。きっと余裕を持ってエントランスに行くはずだ。そう。もうエントランスに行ってしまってるかもしれない。

 会えない可能性。

 家族と一緒に最後の最後まで話しているかもしれない。

 会える可能性。

 どちらの方が高いかわからない。どちらも有り得る。こうなったら神様にでも何にでも祈ってやる。

 最後に会えますように。

 紳助が乗る場所は8番辺だった気がする。駐車場から1番遠い。

 館内の案内図を見て最短ルートを確認。破裂しそうな肺と、もう動かない足を無理やり従えて走る。

 エスカレーターをかけのぼり、大型のスーツケースの間をすり抜け、人混みを掻き分ける。

 8番付近に着いた。時計を見ると10分が経過していた。さすがに行ってしまったか……。

 それでも最後のチャンス。いることを願い辺りを見回す。

 意外にも人が多く、いるのかいないのか判断さえ出来ない。

 焦る。本当に行ってしまったのだろうか。裂ける思いを必死に堪らえる。

 どこだ……。絶対にいるはずだ。私の直感。当たらない直感。

「いってらっしゃい」

 喧騒の中、聞こえた声に目を向ける。その声は間違いなくともちゃんだったのだ。

 人の波が視界を遮る。確認は出来ない。

 また人波を掻き分けて、声の聞こえた方へ向かう。

 まだ……。もう少しだけ待ってくれ。

 お願いだから……!

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