2-7
相川絵理と名乗った彼女はコンビニのおにぎりを食べながらこう語る。
「一目惚れなんだよ」
そうか。一目惚れした女性はこんな感じなのか。ものすごく今私は創作意欲に飲み込まれている。
「なんかさ、こんなの初めてでさ。他の女子と喋ってるだけでもイライラするし、どうしたらいいんだかわからなくてさ」
「私はイケメンなら誰でもいい」
「おい、知子、それは腹を割過ぎてるだろ」
「いやーでもいい人じゃないとなー、内面重要だよ、但しイケメンに限る」
「もういいや」
2人を無視し、絵理ちゃんに目を向ける。
「それで、私が遊ぶ約束を取り付けたのを期にお近づきになろうという魂胆なのね?」
弱々しく頷く。ニヤニヤしたい気持ちはあれどそれを抑え口を開く。
「いいよ。私がひとりなのが嫌なだけで誰でもよかったし」
「私も行く!」
ともちゃんが手を上げる。
「私部活!」
ちーちゃんが手を上げる。可愛いから許す。
「よし、4人で行こう! そして、絵理ちゃんと森谷くんをくっつける感じの適当な作戦で!」
力強く拳を握り高らかと歌うと絵理ちゃんが慌てて私の口を塞いだ。
「ちょっ! 聞こえちゃう!」
「大丈夫だよ。聞こえてるだけで聴いてないから」
ともちゃんが知ったか振りを見せつけるとどさくさに紛れて私のたこさんウインナーを食べる。
「まぁ、少なからず応援はしてるから。初対面だけど。あと、私部活」
ちーちゃんが紫色のパックの野菜ジュースをちゅーっと飲みドヤ顔を決める。