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虹の先  作者: kazuha
プロローグ
2/211

1ー2

 どうやらその事を語っていたらしい。私、凄く共感できる、と。小説の中ではコンプレックスがあり、なかなか恋愛出来ずにいる。

「聞いてた聞いてた。半分くらいは」

「嘘ね! またきいてたの漢字が簡単なほうだよーとか言うんでしょ! 耳から抜けてるじゃないのよ! ぶー!」

 咀嚼を再開しご飯を飲み込む。

「正解」

「もういいし! たこさん貰うし!」

 あ。私のたこさん。もう既に口の中で粉々にされているたこさん。あぁ、最後までとっておいたのに。

「それにひてもさー、『秋雨(あきあめ)』かなり好評だよねー。短編好きの菊川瑞希さんが上下巻に分けちゃうなんてさぁ。しかも読み終えた人とかいるわけよ! おかしくない? まだ発売されて2時間だよ!?」

 そもそも、それを買うために1限を休む奴が多かった気がするが仕方が無いことなのだろうか。ともちゃんもそのひとりだし。

「読める人は読めるんだよ」

「いや、絶対にフライングゲットよ。フラゲフラゲ」

 先行販売はあるだろうが、買えたんだからいいじゃないか。買えなかった人とかいたとか聞いたぞ。

「やっと上巻読み終わったのよー。もう2時間かな。はやく続き読みたいなぁー」

 私は黙々とお弁当を平らげると直ぐにしまう。そしてペットボトルのお茶を飲み息を吐く。

「菊川瑞希さんってどんな人なんだろうねー。同年代だよね絶対! じゃなきゃこんなリアルなの書けないし! きっと恋愛の達人よねぇ」

「そうでもないかもよ」

「ん?」

 窓の外から黄色い声援が聞こえてきた。耳障りな音に思わず耳を塞ぐ。何事かは直ぐにわかる。サッカー部部長の飯田(いいだ)紳助(しんすけ)先輩がご飯後に校庭でサッカーして遊んでいるのだろう。

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