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お昼、逃げるようにしてちーちゃんの席にお弁当を持っていく。すると、ともちゃんはもちろんだが、何故か喋ったこともほとんどないような人がコンビニの袋を持ってさも当たり前の様に私の隣に座る。
「ねぇ、早希ちゃん」
しかも、初っ端から下で呼ぶと言う中々な技を繰り出してくるから私は呆れる。しかも皆に聞こえるようにだ。
「さっきの、ホントにお願い! うちも連れてって!」
急に小さな声になり、両手を合わせて本気でお願いされてる。まるで仏様にでもなったようだ。こんなお願い聞かされているのだと思うと申し訳ないけど可哀想に思う。
私はお弁当箱を開け、その中のたこさんウインナーを箸で掴み、その子の前に出す。
「まぁまぁ、落ち着いて。まずはご飯でも食べようや」
ちーちゃんは野菜スティックを開けて嬉しそうにニンジンを食べ始める。もひゃもひゃと食べ始めるのが視界に入り、私の顔が緩む。なんとも情けない状態だ。
彼女は顔を上げる。明るすぎる髪の色。整えてはいるがダメージが強い髪質。化粧も濃いめで目の周りは黒くなっている。カラコンが入っているのか瞳は大きいがアンバランスなことこの上ない。制服は崩しまくっている印象である。第3ボタンまでワイシャツは開けられ、わざと見せているだろうブラジャーはゼブラ模様。ネックレスもゴテゴテとつけていて右手の薬指には小さめの指輪がハメられている。肌は白く、よくある今時の若い女性といった感じだろうか。
「えっと……」
「食べな、たこさんウインナー」
「私のたこさんウインナーを勝手に上げるんですか」
「おいともちゃん、いつ私のたこさんウインナーがあなたのものになった?」
「常に」
「もうあげないよじゃぁ」
「それは勘弁!」
「ならニンジンあげるよ!」
「え、ニンジン嫌い」
「あーげない」
やけに賑やかだ。今日は。