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虹の先  作者: kazuha
虹の先
184/211

5ー35

「そんなことさせないよ」

 この声は……!

「あ゛!?」

「ともちゃん!」

 手が離された。重力に従って地面に頭を打ち付ける。

「なになに? 友情ごっこですか?」

 1人でアイツを睨んでいた。武者震いなのか、足を震わせてそこにいる。

「ごっこなんかじゃない」

「はいはい。そんなことどうでもいいんですよ」

 アイツはともちゃんの目の前に立つ。

「ダメ! 殴るなら私が!」

「いいよ。オレのものになるなら」

 クソ野郎!

「いいねー、その反抗的な目」

 手を上げるアイツを止める方法なんてひとつしかなかった。

「言うんじゃねぇよ! 私が出てきた意味がわからねぇじゃんか!」

「わかったわよ! なんにでもなってやるよ! あんたの……」

 次の瞬間、校内放送が鳴り響く。

「ゴミ共が邪魔してんじゃねぇ!!」

 ノイズだらけの言葉に一瞬怯んだ。

 それは私だけでなくアイツも同じである。

「んだとゴラ!」

「なめとんのかアマ!!」

 バイクのエンジンが怒涛に吼える。

「てめぇらいなきゃ世の中平和なんだよ!」

 サッカーボールが足に転がって来た。顔を上げるとアイツは倒れていた。

「すまんすまん。すっぽ抜けたわ」

 全く……。私の周りの人はなんでこうも……。

「カス野郎が!!」

「人間のクズに言われたくねぇよ」

 2人は半ば取っ組み合う。

「ちょっ! まだ終わってなっ!! やめて!」

 ちーちゃんの声が放送を終えるように消えていった。

 香川くんが殴られる。勢いよく吹っ飛ぶ。

「あぁ、もうキレた。てめーら。滅茶苦茶にすんぞ」

 その言葉を待っていたのか武器を取ってバイクから降りる者。バイクを乗り回す者。

 事態が最悪だった。これじゃ、学校が潰れちゃう。

「お願いやめて! 私なんでもするから!」

 香川君に追い打ちをかけようとするアイツにすがりつく。

「それなら、この女を殴れ」

 アイツが指さしたのは、誰でもない、私の親友だった。

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