5ー27
何ひとつ変わらない。いつも通りに始まる学校。
半分眠りこけながら歩く生徒に、友だちと楽しそうに歩く生徒。音楽を聞きながら澄ましている生徒に、自転車で威嚇しながら通る生徒。
実に変わりない。
上履きに履き替えて階段を向いた時、
「こっち来て」
ちーちゃんが私の手を取り、直ぐに足早に廊下を進む。これは……、いつものあの場所へ向かうのだろう。
部室の鍵を開けて、投げ込まれる。ここも変わりないな。相変わらず物で溢れている。
「そろそろやめにしない?」
ドアに鍵をかける彼女は正気だとは思えなかった。女と女が密室で2人だけでは今時あまり売れない。
「何が?」
内容なんて知れているが、お決まりだろうと言葉を出す。
「いい加減に仲直りしなよって」
これで何人目だろうか。この話をするのは。
「もう子どもじゃないんだから、できるでしょ」
「子どもじゃないから、仲直りしないんだよ」
高圧的な目がキョトンに様変わりする。
これは、反発を喰らうとは思っていなかったという顔だ。
「ただの喧嘩なら、こんなに長引かないよ。女と女の欲望の重なり合いは喧嘩よりも上のいざこざなんだよ」
「なに言ってるかわからない」
でた。女性特有の不利になったらとりあえずわからないと言うやつ。ため息が出てしまう。
「とにかく、なんでもいいから仲直りしなさい」
「私からじゃなくても良くない? 彼女からでも」
「なんでもいいから謝りなさい!」
両腕をパタパタと上下に振る小動物を見ていると、思わず和んでしまう。
「今日は締まらないね」
「誰のせいだよ!」