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5ー19
絵馬に書いた様な願い。赤い糸で結んだ様なその決意に私は素直に一本の道を行けるのだろうか。
例え努力してその大学に受かったとしても、紳助との赤い糸は既に切れているのに。私はそれでもその糸を辿って進めるのだろうか。
「そろそろ出して貰うから踏ん切りつけろー。これで最終決定じゃないから、思ったことをその都度言ってくれ」
これで良いのか?
誰かの意見を聞きたかった。しかし今はそんな仲間もいない。一匹狼のように自分の事は自分で成し遂げなければいけない。
「よーし。出してくれー」
後ろから回収され、全てが揃った所でチャイムが鳴る。恐ろしいほどのタイムスケジュールである。
そんな流れで休み時間になる。いつもはそこまで賑やかにはならないが、今日は違った。
「なんて書いた?」
「お! まじかよ! すげーな!」
「大丈夫かなぁ。無理だからやめろって言われないかな」
各々の都合と好奇心と、不安と期待と、人間らしい感情が良く見える。あまりにも愉快なのでメモ帳に書けるだけのそれを書く。