表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先  作者: kazuha
青天の霹靂
16/211

2-3

「相変わらずたぶらかしているな」

「人聞きが悪いな。彼女たちが近づいて来てるだけだ」

「ひとりくらい彼女にしないところがたぶらかしているんだよ」

 彼は私の前の席に座り机の上に足を投げる。

「いいだろ。まだあの感触を失いたくないだけ」

「うるさい黙れ」

 急激に体が火照ると共に嫌な記憶が電流の様に頭を流れる。

「それこそまやかしだ」

「あっそう」

 豆乳を飲み干す音が響く。それが途絶えるとまだ雨足を弱めない音がドンドンと窓カラスを叩く。

「ホントにわかるのか?」

「なにが?」

 パックを私の机の上に投げる。受け止めず転がり落ちるパックを眺める。そして立ち上がる彼を見る。ニヤリと意地悪く笑う彼に私は鼻で笑う。

「そろそろ練習戻るわ」

「雨なのにご苦労なことで」

「練習しないと怒るのは誰だよ」

「しらない」

 ニヤリと笑い返すと彼は私を一瞥して教室から出ていった。

 雨足が急に弱り始めた。私はアイデアを忘れないうちにスマホに書き、その内容をパソコンにメールで送る。

 窓辺に立つと夕日が見える。どんよりとした雲はその厚みを削り、雨も大きさを抑える。それが虹になることは容易に考えられる。そう、小さな虹だ。

「あの虹の先に何があると思う?」

 誰もいない教室で呟く。美しく七色を描くその無象に私は見入る。半円の帯に暮れる後光がさし、見える町並みを見下ろしている。ここにいるぞとばかりにその虹は強く儚く輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ