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5ー6
目覚めるとチャイムがふてぶてしく声を発していた。
しまった。授業を全く聞けなかった。
先日からほぼ毎日の様に徹夜で物語を書いているものだから朝の時間はとても眠い。昼夜逆転生活と言うがそれがいけないなんてどんな学者が述べたのだろうか。今の私の学では大人が決めたエゴのようにしか感じない。わざわざ朝に学校が無くてもいいじゃないか。
霞む視界を擦り、大きく伸びて固まった体をほぐす。
机を見ればよだれの様な水溜りが出来ていた。恥ずかしさのあまり指で拭ってしまったが、よくよく考えれば手拭きタオルでも良かったんじゃないかなんて自己解決をする。
頭を大きく振る。何を寝ぼけたことをしているのだ、私は。さっさとお昼ご飯でも食べに行こう。
そう立ち上がった時だった。
「ねぇ、早紀ちゃん。ちょっといい?」
普段とは違う声色に私は視線を上げる。
視線を反らしていた彼女は眉をひそめて影のある顔を私に向けていた。
「話があるんだ」