4ー30
「で、ひとつ聞いていい? この場所どうしたら貸しきれるの?」
野暮かもしれないが気になってしまっては仕方がない。椅子に座ると、ともちゃんが麦茶を人数分机に並べた。
「え? 私のおばあちゃんの家」
「ちーちゃん……、お金持ちだったのね」
「いや、全然」
「いーなー! 髪染めたいからお金ちょうだい!」
「私も欲しい……」
「あ、じゃぁ私も!」
「だーかーらー! ないっての!」
麦茶を飲む。ちょうどいい。苦くなく、薄くなく。麦茶のソムリエも非とは言わないだろう。
「おばあちゃんが入院するらしいからその間貸してくれるって」
「ちょっと待って、それって平気なの!?」
「大丈夫大丈夫。ゴキブリみたいな人だから」
なんだろう。人をゴキブリ扱いする人が本当にいるとは思わなかった。
「にしても、こんな一等地に家構えられるなんて、すごい人なんだろうね」
「いや、先代からの土地らしい」
もう聞くのがバカバカしくなってきた。
「あ、因みに2階にプールあるから」
「「「うそでしょ!?」」」
確信した。絶対にお金持ちだ。
「なにそれ! 入る! 入るー!!」
絵理ちゃんが階段の場所も知らずに走り出す。
「え!? でも、水着」
「えっへん! このボクに抜かりがあるとでも!!」
あって欲しいと願う。どこから出したのか、手には大量の水着がかけられていた。
「あ、因みにさきっちはこれね」
「何故ハイレグ!? いつのだこれ!」
「見てみたい」
「エロジジイが!」