4ー26
『失礼しました』
「……もう、やってられんわ」
頭を抱える。と隣の女の子が私の肩を叩いた。
「なに?」
「秘密のままでいいの?」
「言いたいなら早く言え!!」
流れで怒った様な荒ただしい声を出したと直ぐに冷静に後悔した。
はっ、と彼女を見ると涙目で私の事をじっと見ていた。そしてお風呂が溢れるかの如く泣き始める。
「ども゛ぢゃん゛に゛よ゛ろ゛ごん゛でも゛ら゛い゛だい゛だげな゛の゛に゛!」
これはやばいと本能的に察する。
「ごめんごめん! そんなつもりじゃないの!」
「ぎら゛い゛!」
「ごめんね! アイス奢るから!」
「よし乗った。ハーゲンダッツね!」
ころっと泣きやみ、むしろ悪い顔をしていた。してやられた……?
『次はー、化け狐ー、化け狐ー』
「いちいち入ってくるな!」
一先ず財布の中身を確認してみた。何故か茶色い硬貨が多く見受けられるが、2人分くらいなら買えるかな。
「で、何を買いに行くの?」
「よくぞ聞いてくれました!」
急いで運動靴を脱ぎ椅子の上に立つ。
「思い出を買いに行きます!」
決めポーズを決める。そう、決めポーズ。なんなんだろう、あのポーズ。
いやいや、そうじゃなくて……。何を訳のわからないことをおっしゃっているのだろうか、このリスさんは。SFの世界なら許されるが、現実世界ではまず無理だろう。
なんて思っていた私が浅はかだったようだ。
『次はー、終点、終点』
私たちが降りる駅は、海の近くだった。