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虹の先  作者: kazuha
依々恋々
129/211

4ー21

 霞む視界。白い光がどうやら近くから入ってきているようだ。眩しい。

 体が鉛のようだ。重たく、動かしたくても動かない。金縛りはこんな感じなのだろうか。

 とてつもない睡魔。それは優しく私を包み込んだ。

『ねぇねぇ、やらないの?』

『楽しみにしてるよ!』

『次も面白いよね?』

『いつかなぁ……』

『絶対に読むよ!』

『早く』

『早く』

『はやく』

『はやく』

 思わず起き上がる。

 周りを見回しても誰もいない。

 怖かった。夢だろうか。それにしてもリアルな幻聴だ。

 生唾を飲む。

 どうやら、机に突っ伏して寝ていたようだ。パソコンも起動したまま。直しの原稿は床に散らばっていた。

 全く情けない。まだ1ページも直せていないのに。

 原稿を拾い集めた。順番に並べて、訂正部分を細かく分析する。それを元に書き直そうとしても、上手く言葉が出てこない。

 書いては消して、書いては消して。

 どこの矛盾だ? ここはこうで、それはこう。でもこうじゃないといけない。だからこうで、そうするとこうならないといけないから……。

 複雑なパズルをしているようだ。全面真っ黒なパズルを。表も裏もわからない。そんなパズル。

「さきー! ごはんはー!」

「いらない」

 ノックもしないで入ってくる母に返す。いつの間にか居なくなってたが。

 キーボードを叩き続ける。

『楽しみだな』

『まだかな』

 幻聴が常に私を取り巻いている。

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