表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先  作者: kazuha
依々恋々
126/211

4ー18

 重たい溜め息を吐く。自宅近くの喫茶店で1人、甘いミルクティーを目の前にしてその場にいた。テーブルの上にはミルクティーの他に飲み干されたブラックのコーヒーがあった。

 私の手には赤で様々な直しが加わって返ってきた小説。

 今までこんなことなかったのに……。

 また溜め息を吐く。映画などでよくある天才が壁にぶつかると当分は脱出できない魔のスランプ。そんな感じであった。

「どうしたの。全然らしくないよ」

 なんて言葉を貰っても言い返せない。確かに私らしくない。今までは物語が意図せず自然と進んだのにも関わらず、これは全くそんなことなかったのだ。

 筆は乗った。殴るように書いたが見直せば支離滅裂。矛盾を否定しながら書いたがそれがどうやら矛盾を生み出し、結局手がつけられない状況だった。

 この赤を直しても、きっと酷い出来になる。ペラペラとめくりながらそう感じた。

 早く帰ってさっさと書き直そう。ミルクティーに手をつけず紙をバッグにしまって席を立つ。

 とぼとぼと帰路を行く。晩御飯を買いに来ているのかお母さんたちが猪突猛進といった風にスーパーに入っていく。賑やかな時間だ。

 それでも、周りの音なんか気にせずにただ落ち込んでいた。

 私、やっぱり向いてないのかなぁ。この仕事。

 また、溜め息が出る。そんな自分が情けがなく感じた。

「溜め息吐くと、幸せも逃げるよ」

 ぽんと肩を叩かれる。

「きゃっ!」

 心臓が飛び出るかと思った。急に後ろから、知った声が聞こえたのだから。

「な、なに! ってか誰!」

 振り返る。顔を見ても直ぐに誰だと思い出せない混乱状態だった。

「え? 私わたし」

 笑われながら自分を指差す黒髪の彼女にお決まりの様な言葉を出す。

「詐欺なら私の名前知ってますか!?」

「え? さきちゃん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ