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虹の先  作者: kazuha
依々恋々
120/211

4ー12

 太陽が随分と高くなってきた。時計も見ずに腹時計でその時間帯を把握する。そう、お昼の時間だ。

 木がアーチを作っている急な坂道をずいずいと下ると川辺に着いた。今では雀の涙ほどの水量だが、しっかりとした川である。川の周りは大きな公園になっていて、子供たちが元気に走り回っては転んでいた。

 ここは昔ゴルフ場だったらしいが市が買い取って公園にしたのだそうだ。今でもその名残か芝は立派なものだった。

 川にかかった橋を渡り人を避けるようにある木の下で腰を下ろした。

 木に背中をつけ上を向けば木漏れ日。目を瞑ればそよ風。息を大きく吸ってゆっくりと吐き出す。

 この木は私の木だ。そう、私の木。

 名も種類もわからないこの木。1人ポツンと離れ涼しい顔で生活している。花も咲かせず、実もならない。

 泣けもせず、笑えもせず、喜べず、悔しがらず……。

 ノートを出して目の前の少女を書き始める。元気な少女。男勝りなのかボールを蹴って同い年の男子を負かしている。

 力強いその性格の裏側はどんな感じだろう。にこやかに笑っているが、あの顔の裏側は……どんな感じだろう。

 書き終えるとノートをしまってお弁当を出す。お腹が空いたのだ。ちゃんとたこさんウインナーにしてもらって気分は良好。後は虹が見れれば、何かを覚悟出来る。

 胸の蟠り。これを解く覚悟が。

 お弁当を開く。中に入っていたタンポポの花が不意に吹いた風に乗って飛んでいった。

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