1ー12
テスト勉強に全力を尽くし返ってくるその紙っペラの赤い2桁の数字に皆絶句する。理由は様々だが、私は予想よりも低い点数に絶句していた。
「どうだったどうだった?」
この野うさぎはこんな時でも可愛いな、愛でてやろうか。
「私の表情で察して」
「なかなかいい点数」
まん丸の手で勢い良くグッドと表しドヤ顔を決める。野うさぎの首根っこを腕で固定しサラサラの髪をぐしゃぐしゃにする。
「ふわぁーー!!」
「このキサマは!」
慌てふためくちーちゃんを見て私は楽しくなって更に強める。
その手が止まるとともに私はとてつもない負のオーラを感じた。振り返ってはいけない。そんなことを考えるほど私の後頭部に向けられた視線は狂気なものだった。金縛りの如く体の自由は効かない。唯一動く首でさえ左に回せるだけだった。
「ふふふ、……うふふふ……」
悪寒。背筋が凍る。振り返ることしか出来ない私はゆっくりとその声の方を向く。
「きゃぁ!!」
尻餅をつく。思っていた以上に近かったのだ。
「ごめん、ともちゃん、許して」
「ねぇ、だれだっけ? 変な外人の名前出るとか言ったの?」
「ホントに、ホントにごめん!」
「許しません!」
襲いかかるともちゃんにほとんどない胸を鷲掴みにされる。
「ってなにしとんじゃ!」
腹部を蹴り飛ばし立ち上がる。
「なかなかな心地でした」
「いえいえ、お粗末様ですとか言うとでも思ったか!」
両方のほっぺを平手で潰してグリグリと回す。海面から上げられたタコの様に縮んだ。
「テスト結果が芳しくなかった奴も、そうでもない奴もとりあえず席に座れ」
私達は大人しく新米教師の言う事に従い席に着いた。
「聞いていた奴もいると思うが、ここで編入生を紹介する」