4ー10
朝食の後は直ぐに家を出た。特に誰かと遊ぶ訳でもなく、ただ地元をぶらぶらしようという気分なのだ。
お弁当箱とペンとノートをトートバッグに詰め、お気に入りの靴を履き、真っ赤な傘を持って出かける。
外はとても眩しかった。高い空にはギンギンに輝く太陽。その赤外線はアスファルトと言う名のフライパンを温め、美味しそうなお肉を焼こうと必死である。
あーあ、なんとも気持ちいい晴れ間だろうか。なんて思うやつは相当な阿呆であるに違いない。私は直ぐに家に入った。
「お母さん! 水筒!」
いやいやながら持ってきてくれた巨大な水筒を身に付け、颯爽と灼熱の世界へ足を踏み出した。
物語では日照りの強い砂漠を歩く様な感じだろうか。汗を滝のように流し、道なき道を己を信じて進む。暑苦しい物語だ。
まず初めに向かったのは地元の小学校。入れはしないが。
昔となにも変わっていない。無駄に広い校庭にタイヤやら木の板やらが埋まっている。あれで何して遊べばいいのか私には理解できなかった。そして、空色よりもくすんだ壁の校舎に、ひまわりの咲いている植木鉢。
何やら騒がしいなと声のする方へ歩くと、そこはプールだった。そう言えばプールなんてあったな。今じゃ着ることは考えられないスクール水着も今では萌え要素だそうだ。ただ欲情した犬共の合理化だろうが。
少し歩いて行くと体育館裏まで来た。土の肥えたその場所には日陰なのにチューリップが咲いていた。赤、白、黄色。どの花見ても……なんつって。