4ー8
濡れた服をパタパタとしながらタオルをちーちゃんに投げ与える。幸運にもベッドは無傷だ。その代わりに私が麦茶に染まっている。下着まで丸見えだ。
「ふむふむ、無難ですなおねーさん」
「黙って床を拭きなさい」
私はとりあえず着替えなければならない。直ぐに乾くと思っているかもしれないがそれは外の話しで、室内は冷房にて心地のいい空間と成り代わっていた。
「そんなに大胆に着替えられると、僕の下心が……淫乱な気持ちが……18禁が!!」
「黙らないと外に出すぞ」
「せめて日が落ちてからにして」
着替え終わり、床も綺麗になった。心機一転、いや、彼女の思いつきを聞こうではないかと椅子に座る。
「で、なに? さっきの、あ、は」
いつの間にか私のブラジャーを頭にかぶっているちーちゃんは、ハッとしたように私を見た。
「こ、これは……その……つい……出来心で……」
「普通は言わないように思われる犯人の思わず見られてしまったときの一言が脳裏に出てきて、思わず口をついた風に言ってもなんとも思わないからはやく言いなさい。ってかこんなに尺を取らせるな」
「こんなに使ってるの、忘れたからなんだけどね」
「……怒ろうか?」
「人の記憶はそんなに長くはもたないし、尚且つ驚きの事件があった後じゃ意識はそっち一色になっちまうのも納得行けると思うのだがねー」
「なら私は濡れ損か?」
「てへっ」
とりあえず近くにあった鉛筆削りを投げつけた。