4ー7
一先ずスイカを切り、私の部屋に案内する。
「いやー、麦茶をバラマキたい部屋だね」
「本気でやめて」
ベッドに座り、スイカを食べながらとある話をする。
「で、なにか名案は?」
「それが、浮かばないのですよ」
「ダメな女だこと」
「なんの案も出してないリスには言われたくない」
「リスじゃないもん!」
そう言って頬に溜めていたスイカのタネを私目掛けて放つ。
「ちょっ! やめて!」
「へへーん!」
とある話とは、ともちゃんの誕生日プレゼントの話である。8月生まれの夏っ子に最高のプレゼントでもあげてやろうかと考えていたが、自分たちでハードルを上げすぎ、走り出せもしないのが現状だ。
「マグカップとかありきたりなものじゃなくて、喜んで泣いてくれるくらいの代物でなおかつお金のかからないで労力の使わないもの……か……」
再確認がてら言ってみたが、これっぽっちも思い浮かばない。なにが、この条件に当てはまってるのか……。
「歌のプレゼント?」
「何歌うのよ」
「じゃぁ、踊る?」
「なにを踊るのよ」
「もー! 文句ばっか!」
「なら、行き当たりばったりのこと言わないで」
スイカにかぶりつく。あまり美味しくないスイカだ。甘くもなければ水気も少ない。シャリシャリする食感を楽しむだけで他は何もない。
「なにが欲しいのかなぁ」
ちーちゃんが後ろに倒れる。何が欲しいのかわかったら苦労しない。
「そう言えば、菊川瑞希の新作欲しいとか言ってなかったっけ?」
「さすがに買ったでしょー。あんだけ楽しみにしてたんだからさー」
「だよねー」
浅はかだ。そのくらい少し考えればすぐにわかるはずだ。あーあ。いい案出ないかなぁ、なんて思案を放棄するような溜め息を吐く。麦茶を飲もうとコップを口に運ぶ。
「あー!!」
いきなり起き上がるちーちゃん。
「あっ……」
「名案の前に、掃除、しようか」
「ごめん……」