4ー2
夢から覚めるように、また目を覚ました。どこまでが夢だったんだろう。また、あんな苦痛の1日を過ごさなければいけないのか。溜め息を吐いて時計を見る。
翌日だ。
そんなくだらないこと想像するなんて、まさにB級の物語書きに成り下がったのかと自己嫌悪に陥るところだ。ある夏の輪廻なんて全くくだらないことだ。
一瞬の感情と思考が奇跡を呼ぶのにも関わらず、そのチャンスを与えられるそんな物語が面白いと思えない。
と、SNSに書き込んだら炎上しそうな思考を飲み込んで起き上がる。
夏休み初日。一学期の汚いものは洗いきった感覚だ。何と言うか清々しい。暑さのせいか服ははだけていたがそんなことどうでもいい。急いで身支度を整え携帯を見る。
「さてさて。行きましょうね」
クローゼットの中からリュックを引っ張り出し、中にペンとノートだけ入れて背負う。
用意が出来たと思って鏡を見る。
「あ、寝癖……」
そう呟くと遠くから声が飛んでくる。
「やっと気づいたか。あわてんぼうの早紀」
その声は間違いなく。隣の家の人だった。
「だから……。レディの部屋覗くんじゃないの!」
窓に近づいて大声で叫ぶ。
「もっと女子力を磨いてからそのセリフを貰いたいものだ。窓開けておいてそれはないだろ」
そう言われて急に恥ずかしくなった。
「どこから?」
「なにが?」
「どこから見てたの?」
「……。そうだなー。水色……」
私は近場にあった目覚まし時計を思いっきり投げつける。それはがしゃんと言って彼の顔の横を通っていった。
「危ないよ」
「もう知らない!」