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虹の先  作者: kazuha
依々恋々
109/211

4ー1

 へー、そうなんだ。素直に思う。寝ぼけた頭脳がフル稼働して情は沸き上がっても、その言葉はすんなりと入ってきた。

「前にも言ったじゃん……。その……本当に信じてる人には秘密にしたい事言わないと、やっぱり苦しいから……さ。自分……。だから、さ……」

 笑い話でもなければ、悲しい話でもない。友達の大切な話。視線を反らす彼女に同情もなければ同調もない。

「そうだったんだ」

 私が返事をしなければただの独り言。作り笑顔の様なぎこちない顔。まっすぐと目を見つめる。その奥に秘められた光を眺める。

「うん。……そう」

 何も変わらない。その一言は今の真実。私と彼女とそして彼との関係は何も変わっていない。

 私は何かを求めているのだろうか。

 何をこんなにそわそわしているのだろうか。

 何を憤慨しているのだろうか。

 私の中の小さな小人たちが暴れている。何かを求めて。

「ねぇねぇ。菊川瑞希の新作、いつ出るかな」

 ともちゃんが外を見る。それにつられて私も外を見る。そこにはより青々と萌えるオウギの葉が枝垂れて揺れていた。

「私には、……わからないよ」

 その明るさが、嫌に眩しい。まるで彼女を祝福するように。

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