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中学も半分を過ぎた頃だ。紳助が高校受験に躍起になっていた頃である。私が思春期特有のイライラを持ったのは。
小説を書いて見せて、そして意見をもらって書いて……。そんな日々が当たり前だったことに苛立っていたのだ。それがひと学年上がるとなくなった。自分の書いた物語。見せる時間もなくなり必然的にそうなっていった。
私も受験生になり合格が厳しい今の高校を目指した。紳助がいるから。それだけの理由で頑張った。
それも見事合格。晴れて高校デビュー。高校に入ると直ぐに友達もできた。紳助とは今までの経験で学内で会うことは避けていた。それが、日常を送る上での絶対事項だった。
ある日、私宛に手紙が届いた。有名出版社からの手紙なので驚かないわけがなかった。おおっぴらにしたことない為、まさか出版しませんかなんて内容だと思わなかった。
なんでこうなったかなんて考えなかった。嬉しすぎてその事実だけが頭を埋め尽くした。
とりあえず紳助に報告した。喜んでくれた。それから出版手続きやらなんやらを済ませて始めてその謎が気になった。
紳助に聞くと、応募したのは紳助らしかった。嬉しかった。それと同時に、中学のイライラが蘇ってきた。
そうだ、思い出した。なんでも紳助がやってくれるから、自分で出来るようになりたかったから、紳助から離れようとしたんだ。そう、親離れするように……。自分の気持ちを小説の中に仕舞ったんだ。
目が覚めると保健室にいた。寝ちゃったんだ私。なんか、もったいないことした。
周りにはともちゃんとちーちゃんが一眼レフを覗いていた。それでも私が起きたことに気付くものだから私は1度伸びをする。
かしゃ、かしゃ。
シャッター音に怪訝な顔をするとふたりは笑った。
「不細工な顔」
「ホントに」
「こら! 見せろ!」
そのカメラの中には私の寝顔やら様々なものがあった。それを見て一緒に笑うとちーちゃんは別のSDカードを出した。
「こっちも見よ? 寝てた時間にあったことをさ」