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チッ。舌打ちが目の前で聞こえたかと思うと瞼の裏にあった影が離れたのを悟り目をあけた。
「いいところなんだから邪魔しないでよ!」
私から離れ声の主に近づく。
「ねぇ、飯田せーんぱい!」
怒りが顕になり過ぎていた。今までに見たことない、森谷の素顔がそこにあった。
「あんたは早紀ちゃんのなんなの!? ねぇ、彼氏? 彼氏なの?」
そんな森谷に対しての飯田先輩は冷静だった。
「ねぇ、答えてくれないならここからいなくなってくれないかなぁ!? 俺の告白の邪魔してくれんなよ!?」
飯田先輩はポケットから何かを取り出し森谷に見せつける。写真だろうか。それを見た森谷は急に顔色を変えた。
「いなくなってもいいけど、先生にこれ見せるわ。タバコ吸ってるのと、彼女に蹴りいれてるのと、万引きしているところと、かつあげしてるところと……」
「よこせ!」
写真を奪うとすぐに破り捨てる。
「どこでこんなもん!」
「常に悪いことしてるからだ。自業自得だろ」
「クソが!」
森谷が先輩を殴ろう腕を大きく振る。
ピーンポーンパーンポーン。校内放送らしい音が鳴り響く。
「森谷くん。森谷雅美くん。至急校長室に来なさい。至急校長室に来なさい」
ピーンポーンパーンポーン。
「あ、言うの忘れてたけど、もう渡してたわ。わりーわりー」
「うわぁぁぁぁ!!!!」
今殴りかかる。思わず目を閉じる私の耳に入って来たのは、殴った音と倒れた音だ。
紳助っ!!!
目を開ける。