3ー41
その日は教室に戻らなかった。気まずい。ただそれだけだった。保健室で庇ってもらい、午前で終わる授業のチャイムを聞き、ある程度経ってから教室に戻って荷物を取る。
そのまま帰宅。誰とも会わないし誰からも連絡が来ない。そんなこと嘆くことも忘れ、パソコンを開いた。
今まで紡いでいた小説。自己満足で書いていたお話し。絵理ちゃんみたいな女の子がふたりの男子に対して恋心をいだく、王道の恋愛小説。慣れない言葉を書いては、甘酸っぱいセリフに自ら恥ずかしくなり、1度消してから、また同じセリフをタイプする。こんな恋愛小説書けないんだなと実感していた。
この物語の終わり。それは現実とは違う。迷い迷って結局どちらを求めるかなんて書いてみないとわからない。プロットのないこの物語の続きを1番楽しみにしているのは私なのかもしれない。
文章の上での結論と、現実の事象、私はどっちつかずで依存し、そして後悔という文字を脳内に書く。
あぁ、こんなこと何回も脳内でループしている。頭を強く振る。こんなんじゃダメだ。関与するななんてちーちゃんは酷いことを言う。私は、私は……。
携帯が鳴る。しかしそれはメールだった。誰だろう。私は内容を確認する。
「明日話したいことあるんだけど、いいかな?」
森谷くんだった。好都合だ。私も話したいことがある。
パソコンを閉じる。目を閉じる。覚悟をつける。