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8つ目の部屋
次の部屋はどこかの病室のようだった。
ブブブ…携帯だ
何か思い出されましたか?
「何か…父さんと母さんは…もう…」
記憶にはまだ続きがあった。
病院についた僕たちは、母と父がいる病室へと入った。
そこには顔に白い布を被された二人の側に父方の祖父母がいた。
小さかった妹は理解できなかった。
「おばあちゃん…お父さんとお母さんなんで、起きないの?」
「あのね。美香ちゃん…お父さんとお母さんはね……」
母方の祖母は泣いていた。
「おばあちゃん?」
僕たちは二人の側に行った。
「お母さん、起きてよ…ねぇ…お母さん!!」
僕はもう泣いていた。
もう、抱き締めてくれる母は居ない。
優しい父ももう居ない。
二人が死んだのは事故だった。
大型トラックは車線を飛び出し二人に突っ込んだ。居眠り運転だった。
僕の目には涙がポタポタと床に落ちていった。もう一度会いたい。
どんなに願おうともう二度と合うことはできない。
「父さん…母さん……」