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Trick or Treat

作者: 蝉時雨




ピンポーン


呼び鈴が家中に響き渡る

俺を訪ねてくる人なんて出前をとったときぐらいなはずなのに

(誰だろ...)


「はぁーぃ」

『とりっくおあとりぃーと!!』


思考が停止した

玄関の前に居たのは予想外の小さな子供だった

少し大きめの可愛い手提げ鞄を持っている

不気味な格好をした男の子

大人用のパーカーなのかぶかぶかで袖もかなり余っていて

フードで顔がほとんど見えなかった


「...?」

『とりっくおあとりぃーとぉー!』

「...ご、ごめんなぼく!お菓子ないんだ...」

早く帰ってほしいのと

本当にお菓子がないっていうので

そう言って玄関をしめた


玄関ののぞき穴から早く帰らないかと覗いていると

男の子が不気味な笑みを浮かべ、消えた


すると次の瞬間

『お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうよ』

耳元で男の子の声がした


「!?」

バッと振り返っても誰もいない

テレビのニュースアナウンサーが忙しなくしゃべり続けているだけだ


「...」

(きっと俺は疲れてるんだ...そうだ、そうにちがいない...)

早く寝てしまおう

早く忘れるんだ、忘れてしまおう


部屋の隅においてあるベッドに飛び込むと

枕元にあったリモコンでテレビを消し、布団を深くかぶった

耳元で笑い声が聞こえる気がする

(なんなんだなんなんだ

 なんなんだなんなんだなんなんだなんなんだ)


心臓がいつもの2倍の速さで俺の全身に血をおくる

汗が噴出してくる


(そうだ、俺、昨日、飲みながら、ホラー映画をみたから、

 きっと、二日酔いとかのせいも、あるんだよな、疲れてるんだ)


...

......

...

............

...

..

...



ぴぴぴぴ

ぴぴぴぴぴぴぴッ!


「ふ...んぁ...ふぁ...」

いつものように目覚ましを止め

大きくあくびをした

昨日のことはよく覚えていない

(なんでこんなかっこで寝てんだろ...)


いつものように顔を洗い

歯磨きをして、着替えた


テレビの左上は7:15と表示されている

もう家を出なければならない時間だ


いそいで玄関を飛び出し

共有駐車場に停めてある自分の車に乗り込み

エンジンをかけた






ザザ...ザザザ...


△□県○○市で軽自動車が爆発するという事故がありました。

△□警が事故原因の調査に当たって...




『お菓子をくれなきゃ、悪戯、しちゃうよ?』




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