Ein Dieb trifft ein Feuer.
Ein Prozeß, um einen Pfeil von einer Lilie zu produzieren.
――Lilie - 2
――熱い。
――熱い熱い熱いアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイ。吐き気がする頭痛がする喉が乾く目が乾くアタマが乾く肌が焼ける肉が焼ける神経が焼き切られる。
あつい。しにそうなくらいあつい。あたまがわれるようにいたい。なにかがせなかをやいてる。いえきがのどをやいてる。いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい。
男がおれの体に何かをした。
――誰だ。誰だ誰だ誰ダ誰ダ誰ダダレダダレダダレダダレダダレダダレダダレダ。オレのカラダにナニヲシタ。オレのカラダオレノカラダオレノカラダオレノオレノオレノオレノオレノオレノ。
「……間に合ったようだな」
あつい。あついあついいたいあついあついあついいたいあついいたいいたいいたいいたい。おれがなにをしたっていうの? やめてあついあついあついあついあついあついあついあつい。
「まさかヤツが俺の息子に手を出してくるとは……一体何を狙っている?」
――貴様こそナニをしてくれやがった。オレのカラダがオレがウゴかせなくなってきてイル。オレのカラダオレノカラダがオレがオレノガオレノカラダオレノカラダオレノカラダオレガオレガオレガオレガオレガ。
「――あな、た。……な、に……して、いる……の……?」
あついよ。あついよあついよあついよあついよあついあついあついあついあついあついあついあついあつい。せなかあついいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい。
男の足元には小さな鉄の容器が転がっている。
「……ナギサ」
男の取った行動は咄嗟であったが故。
「……あなたも、同じ。あなたも所詮アレの同類でしかなかったのよ。……ああ、信じた私が愚かだった。他人など二度と信じるものか。こうやって私と私の家族を脅かすだけの存在――!」
取り返しが付かない。
「俺がヤツと同類、か。……案外的を射ているかもしれないな」
――認めるか。オレにとっては真逆。貴様のせいで全てが狂った。貴様貴様キサマキサマキサマキサマ。
「――ナギサ。俺はヤツに借りを返しに行く。おそらくはもうここには戻れないだろう」
「もしも戻ってきたら、私が殺してやる」
「結構」
あつい、あつい、あつい。ねえ、せなか、あついよ。どうしてふたりともむしするの?
「今まで……幸せだった」
男がナギサに背を向ける。
「私を騙していたことは許さない。だけど――――できれば、死ぬまで嘘をつき通してほしかった」
足を止める。
「……すまない」
それだけを残し、再び歩を進める。
――どうして? どうしておれをむしするの? ねえ。
――とうさん。