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――町、首切りに哭く。

 少し休んだ後、カウンターで会計を済ます。レジの前に立っているのは和輝だ。


「かはは、たっけえ」


「言うな……」


 さすがの額だ。どうやら五ゲームまでのセット料金とやらは平日限定のサービスだったらしい。よくあるミスとはいえ、ヘコむ。二枚目の諭吉までは届かないにしても、相当の痛手だ。


「あ。由利也クン、私が出すよ?」


 シューズを返却しに行ったイズミがいつのまにか戻ってきていた。かと思えば何やらおかしいことを言っている。


「……え? いや、いいって、うん」


 こういうのは男が全額出して然るべき、と聞いたことがある。……誰に?


「お昼は由利也クンが払ってくれたでしょ? 今度は私が払うよ」


 そう言ってカバンから長財布を取り出し、札入れを弄りながら「いくら?」と尋ねるイズミ。


「だから、いいって……ば……?」


 ふと、その財布の中身が見えてしまう。


「うおっ。ネズっち、金持ってんなぁ」


 その札入れには諭吉がYKC48を組めそうな枚数。……もちろん誇張。


「ぇ、そう? ……なの?」


 そしてこの反応である。ふむ。もしバイトをやっていて自ら金を稼いでいるのであれば、自分の持っている金額がどれほどの価値を持っているのか把握しているはずだ。

 ああ――――同族の匂いがする。

 次いで、頭の中で眠っていた――否、眠らせていた“ある”疑問がパズルのピースとして機能してしまう。

 ……疲れているからか思考がちょっと(ルナ)ってる。単に前々から気になっていたけど聞けなかった疑問を尋ねるだけの話だ。


「イズミって、もしかしてあの立松電器のご令嬢なのか?」


 立松電器(たてまつでんき)。中杉駅傍に本社と工場を置く、家電メーカーの最大手だ。

 その製品はテレビなどのAV機器や、乾電池や電球といった消耗品、白物に始まる数多くの生活家電など多岐に渡っている。


「……そうよ。でも、二度とそのことは口にしないで。由利也クンだから許すけど」


「あ、ああ、わかった。別に気にすることないと思うけどな」


 大企業のご令嬢ともなると色々と苦労があるのかもしれないけど、隠さなきゃならないほどのことなんだろうか。


「気にするわよ。もしそれを言ったのが由利也クンじゃなく目の前の馬男だったらただじゃ済ませてないわ」


「馬……ッ!?」


「お、おう。以後気を付けます。……だけど、一つだけ聞いていいかな?」


 こればっかりはやはりどうしても気になる。


「イズミが使ってるあのドライヤーって……」


 刹那、鋭い殺気が肌に刺さる。


「――由利也クン、その歳で不能になりたい?」


 凍てついた笑顔のままで足首を回している。やはりタブーであったか……ッ。


「いえ、一姫二太郎を残すまでは……」


「よろしい」


 完全に余談だが、二太郎に生まれた男は必ず妹に憧れる。そして不思議なことに、逆もまた然りらしい。


「いやぁ、一姫二太郎が三人じゃないって知った時はさながら天動説を否定されたカトリック教徒の気分だったぜ」


 ケラケラと笑う和輝。……本当にいたんだな、そういうやつ。


「そういやお前の家は一太郎二姫か」


「おう。妹は1人だけどな」


「わかってるっつの」


「――いいなぁ、兄弟」


 ぽつりとイズミが漏らす。


「なんだ、ネズっちは一人っ子か」


「そ。退屈よ?」


 ああ、わかる。そして和輝、さっきはツッコミ損ねたがネズっちはやめとけ、ねづっちは。


「んじゃ、ネズ子は兄と弟だったらどっちが欲しいんだ?」


 ケラケラと笑う和輝。まったく、何が可笑しいんだろう。


「どっちもいらないわ。だけど、姉と妹は両方欲しいかな」


「ほぉう。なら丁度いい。あんたもうちのケロッピに構ってやってくれ。あいつ、最近塞ぎこんでやがんのよ。ペットでも死んだかね」


 こいつが不意に見せるこういう妹思いっぷりには感心する。

 にしても、ケロちゃんのペットってあれ(・・)


「ありゃー、ドラゴンとうとう死んじゃったのか」


「ドラゴン?」


 イズミが真っ当な疑問を唱える。


「ああ、あいつの飼ってるペットでな。たしかガトリングなんちゃらとかいう……」


「バルカンなんとかじゃなかったか? 別名がヨーロッパなんとかだった気がするし」


「ああもう、その先が重要なんじゃない! 結局何なのよ!」


 すっかり興味深々な様子のイズミ。面白いのでスルー。


「ケロちゃんがカエルを集めてたのってドラゴンの餌だったんだよな」


「そそ。俺がケロ子と名づけてやってからはペットショップで冷凍ネズミ買うようになったけどな」


 イズミがびくっと背筋を震わせる。……可愛い。


「――なーんだ。それでわかっちゃったわ」


 かと思いきや、カエルとネズミを食べる動物に心当たりがあるらしい。


「言っとくけど、ネコじゃないぞ」


「わかってるわよ!」


 過剰に反応されたのは彼女の中ではネコ=角さんの構図が確立されているからに違いない。




「遠東君、ちょっと……」


「あ、依田さん。なんスか?」


 スタッフルームから出てきた店員に声をかけられ、応える和輝。……ここでのバイトを始めて間もないはずなのに、先輩に対しやけに馴れ馴れしい。きっと長続きしない要因の一つなのだろう。


「はぁ……。……店長から君にお話があるそうよ」


「ほう? なんでしょうね。そんじゃ、行ってくるんでレジお願いします」


「オーケー。――さよなら、遠東君」


「何か言いました?」


「いえ、何も」


 案の定、今回も長続きしなかった模様。頑張れ和輝、天職はきっとある。刺身にタンポポ乗せるバイトとか。




「――ありがとうございました。またお越しください」


 っと、スタッフルームに消える和輝の背中を眺めているうちにイズミに会計を済まされてしまったようだ。


「いくらだっけ? やっぱり俺が出すよ」


「いいからいいから。私、こういう時男性は女性に気を使うべきだなんてちっとも思わないしね」


「……うーん」


 非常に反応に困る。まあ一つ確かなのは、俺の持っている金は三佳さんの金で、やっぱり出費は少なく済んだ方が良いってことだ。それを思えばありがたいことなのだが……年下の女の子に金を出させるっていうのには情けなさを感じる。


「私がいいって言ってるんだからいいのよ、まったく」


「うーん、了解。――ありがとう、イズミ」


「ぇ? ん? どういたしまして……」


 お礼なんか言っちゃったら余計情けないな、なんて口に出してから後悔。イズミが相手だと何故か気持ち悪いくらい素直になってしまう俺なのであった。







「――あ、忘れ物」


 イズミが唐突にそんなことを言い出したのは、オビワンの向かいの喜峰亭で夕食を取っている時だった。

 俺は人気メニューである喜峰亭丼を食べるのを止め、尋ねる。


「え、どこに何を忘れたんだ?」


 朝から一緒にいるが、イズミの荷物が減ったことには気付かなかった。カバンはちゃんと持っているし、それを開いたのだってヘッドホンを仕舞った時と財布を出し入れした時だけだったと思う。


「アル・フィーネにちょっと、ね」


「そっか。場所がわかってるならよかった。あそこってまだ開いてるのか?」


 現在時刻は八時過ぎ。ああいう店は多分そう遅くまではやっていないはずだ。


「ああ、店が閉まってても大丈夫。気にしないで」


 えーと、どういうことだろう? まあ、気にしないでって言われちゃ、気にするのも悪い気がする。



 俺は再び目の前の喜峰亭丼に箸を入れる。――見た目は海鮮丼っぽく出来ている。おかずは各国の料理のごちゃまぜで、ご飯もまぜこぜ。

 ……食いづれぇ。

 隣の席ではイズミがこれまた人気メニューのナポリタンを食べている。――ただの一度も音を立てず、ただの一度も口を汚さない。

 一方俺の前では丼の中でこんがり焼かれたカエルが独り、エスカルゴの丘で白ワインに酔っている。……故に、俺に食欲はなく。


「食べないの?」


「ああ――――」


 その丼はきっと残飯で出来ていた。





 結局、空ききった腹をほとんど満たせないまま店を出てしまった。


「大丈夫? 他のもの頼めばよかったのに」


「いや、まあ混んでたしさ。あとで適当に買い食いで済ますよ」


 熱気のこもった店内とはうってかわって、外の空気は少し肌寒ささえ感じさせる。

 目の前を大勢の人が通り過ぎ、いくらかの人が喜峰亭へと入っていく。さすがは野口の駅前。この時間になってなお混み合っているところを見ると、やっぱり古宮とは違うなと思う。


 にしても、喜峰亭丼とやらを頼んだのは完全に失敗だった。あれが人気メニューだとは信じがたい。和輝からの箔押しが無ければ俺だってきっともう一つの人気メニューであるナポリタンを注文していたことだろう。

 ふと、傍らの店の看板が目に入る。――「人気メニューはナポリタン」。

 嫌な予感がする。俺は振り返って、店の前の掲示板に貼られたいくつもの雑誌の記事に目を通す。


「由利也クン、どしたの?」


 しばらくして、俺は気づいてしまった。


「人気メニューは……ナポリタン……」






 古宮駅に到着したとき、時刻はもう十時を刻みかけていた。電車内は行きよりも少しだけ空いていて、イズミと二人で席に座ることができた。

 この二日間でだいぶ慣れたとはいえ、やっぱり緊張はした。もし話が途中で絶えていたら、俺は気恥かしさで席を立っていたかもしれない。

 しかし、あの(・・)話題のおかげでそれは杞憂に終わってくれた。俺たちは喜峰亭を出てから今まで、彼ら――遠東兄妹の話を延々と続けている。

 正直言うと、俺はイズミに和輝とのバカ話を教えたくはなかった。何故かって、それらの話は大抵俺が残念な目にあってオチとなるからだ。

 だけど、イズミはそれを含めた俺の話を聞いて本当に楽しそうに笑ってくれる。だからついつい調子に乗って色々な話をしてしまう。


「――で、……もうわかると思うけど、俺は千円が切れるまでコーラのボタンを連打したんだ」


「あっちゃー。あはは」


 自販機のボタンを連打するとたまに二つジュースが買えるっていう、あれ。


「……それで、九本のコーラはどうしたの?」


「これがまたバカなことに、その場で飲みきった。俺が六本、和輝が三本」


「あはは、相当テンパってたのね」


 ほんと、高校生にもなって何やってんだか。まるで小学生だ。

 ジー、ジーと虫の鳴く、初夏の涼しい夜。俺たちは古宮駅の構内を出て、アル・フィーネに向かおうとしていた。

 ここからアル・フィーネまではゆっくり歩けば5分はかかる。なら、先にあそこへ寄った方がよさそうだ。


「あ、悪い。こっちからでいいかな?」


 二手に別れた道の、右の方を指差す。


「うん。少し遠回りになるけど、そっちからでも行けると思う。どこかに寄るの?」


「自転車をそっちに停めてあるんだ」


「そっか。由利也クンは自転車乗りなんだっけ」


 ああ、昼にそんな話をしたっけ。駐輪場に向かって歩き出す。


「出かけるといえばほとんど通学だけだから、結局自転車が一番利に適ってるわけ」


「なるほどね。……十八歳なんだから車の免許でも取ってみたらいいのに。由利也クンがしたり顔して黒いセダンで登校してきたら、盛大に笑ってあげるわ」


「……停学ものだろ、それは」


 もう停学は勘弁。もう一年学校にいることになったら、きっと俺はとっとと自主退学することだろう。

 だって――そこにはイズミがいないから。


 駐輪場に着き、無駄にデジタル化した出庫処理を済まして、入り口で待っているイズミの元へ戻る。


「――ふぅん」


 俺のボロ自転車を見るなり、そんな反応をするイズミ。


「……なんでしょう」


 緩みきったチェーンが、押しているだけなのにキイキイと軋む。


「由利也クンは車やバイクには乗らない方がよさそうね。そんな整備不良じゃ命がいくつあっても足りないと思うわ」


 確かに。自転車のままでも、激しく車が行き交う通りの車道へは恐ろしくて下りられない。



 アル・フィーネの方向へ歩を進めていると、草の伸びきった空き地の横を通った。

 きっとあそこにはこれからコンビニか何かが建つのだろう。駅前はそうして刻一刻とその姿を変えていく。

 その空き地から、またジー、ジーという鳴き声が聞こえる。


「あのジーって鳴き声、何の声か知ってるか?」


 話が途絶えたことでイズミに退屈させてたら悪いな、なんて余計な打算を含みつつ話を振る。


「ぇ? えーと、ずっとミミズだと思ってたけど……」


「俺も。和輝はモグラだって言ってたけどな」


 何年前かの、蒸し暑い初夏。俺と和輝とケロちゃんの3人で歩いてどこかへ行った帰りに、そんな話をした。


「あはは、モグラって」


「基本的にバカなんだ、あいつ。それで、意外なことにケロちゃんがそこに口を挟んだ。『それ、オケラの間違いでしょ、お兄ちゃん』って」


「へえ、オケラだったのね」


「いや。俺たちもそこで納得しかけたんだけど、そしたらあの子が『やれやれ』って仕草をしてこう言うんだ。『でも、それも間違いです。オケラの声はもっと低い“じー”で、あの甲高いのはクビキリギスです』ってね」


「意外。香早生ちゃんって虫に詳しいんだ」


 香早生ちゃん、か。俺が彼女をそう呼んでいた期間はいったいどれくらいだったっけな。


「ああ。兄の和輝もそれをその時初めて知ったらしくて、大層驚いてたよ」


「普通クビキリギスなんて名前すら知らないものね」


「女の子ならそうだろうな。俺は小さい頃虫図鑑を読むのが好きだったから、たまたま知ってた。もちろん鳴き声までは知らなかったけど」


 気付けば大通りに出ていた。アル・フィーネはもう、この通りを渡った先だ。


「ね、クビキリギスってどんな虫? 他の虫の首を切るの?」


 さっきのドラゴンの話然り、イズミは結構虫やその他の生き物が好きなのかもしれない。


「逆。切れるのは自分の首だよ。噛む力が強いから、葉に付いてるのを無理やり取ろうとすると首だけ残る」


「うげー」


 リアクションとは裏腹に、やっぱり楽しそうな顔をしている。かつて俺の話をこれだけ楽しそうに聞いてくれた人がいただろうか?

 ……いた。二人も。姉と、妹同然のケロちゃんだ。


 信号が青に変わる。電気の消えたアル・フィーネ店内とその周辺には、人影も無い。見えるのはただ……デカい……バイク……。


「まさかイズミ……!」


「由利也クンならとっくに気づいてると思ったけど。まあいいわ」



 店の前まで来る。「店が閉まっていても持って帰れるもの」はその赤いすぽーてぃなバイク以外には見当たらなかった。


「よかった、盗られてなくて。結構高いのよ? これ」


 イズミは衝撃の事実に打ちのめされている俺を無視し、バイクの前にかがみチェーンを外している。


「イズミ……それ……痛車……」


「そ、イタ車。由利也クンでもドゥカティがイタ車なことくらい知ってるのね」


「え、あ、うん?」


 現状を理解できていない俺をよそにそのデカいバイクにまたがるイズミ。

 そして中身が詰まっているはずの白いカバンから、それと同じ位のサイズのフルフェイスヘルメットを取り出し、被る。


「よっと。それじゃ由利也クン、ここまでついて来てくれてありがと」


「お、おう……」


 エンジンが入る。ドルル、と地を轟かすような音が辺りに響く。とはいえ、抑えめに改造されているようだ。


「じゃ、また明日、学校で」


 そう言い残し、唸るエンジン音と共に颯爽と去っていくライダーイズミとその愛車ストリートファイター。

 残された俺はまだその異様な光景にただただ唖然としていた。








 家に着く。辺りは静まり返っている。きっともう日付が変わりそうな時刻のはずだ。


「ただいま」


 誰もいない部屋に向かって声をかける。今まで何も思わなかったのに、何故かその寂しさが今は胸に来る。

 ケロちゃんを見習ってペットでも飼おうか。そうしたらこの気持ちが少しでも紛れるかもしれない。


「――なんてな」


 独りの寂しさは、このアパートで無断で飼えるような昆虫なんかでは誤魔化せないだろう。

 玄関の電気を付け、風呂場に向かう。


 今日この後の予定を考えよう。

 まず風呂を沸かそう。今日くらい疲れている時はシャワーでは物足りない。

 そうと決まれば早速風呂のスイッチを入れる。浴槽は前に洗ったから綺麗なはずだ。

 風呂が沸くまで何をしよう。何でもいい。テレビでも点ければ二十分やそこらなんてあっという間だ。

 居間に行きテレビを点ける。ニュース番組が今日のセ・リーグの試合結果を伝えている。

 風呂を出たら何をしよう。何でもいい。パソコンでも点ければ何時間でも暇を潰せる。


 暇、か。

 俺は学校での時間を寝て過ごしたい。だけど俺はそんなに長く寝ていられない体質だ。

 そこでどうしたかというと、答えは簡単。夜寝る時間を減らしたのだ。

 三時やそこらに寝るようにすれば、翌日いくらでも寝ていられる。


 ああ、馬鹿馬鹿しい。そんなことわかってる。そもそも学校に行くこと自体馬鹿馬鹿しい。

 俺は大学に進学するつもりはない。だから本当は体育祭が終わったら「ああ、今年もつまらなかった」と言い残し、あとは単位をギリギリ落とさない程度にだけ出席するつもりだった。


 だっていうのに――なんで俺はあんな魅力を学校に見出してしまったんだ。

 学校に行けばイズミに会える。

 周りの目もあるし、今日のようには話せないかも知れない。

 また“大人”とかいうヤツらに襲われて命を(おびや)かされるかもしれない。


 ――なのに、それでもいいやと思ってしまう。


 さっきまで会っていたというのに、イズミがいない寂しさに身が張り裂けそうになる。

 明日になれば会える。あと半日もしないうちにまたイズミに会えるというのに。

 “溺者”とかいうヤツらが何に依存しているのかは知らないが、もしかしてこんな気持ちなんだろうか。

 だとしたら同情する。俺はこんな気持ちに二週間も耐えられる自信が無い。


 もたれかかった座椅子が軋む。テレビの中ではニュースがいつの間にか終わり、CMばかりが延々と流れている。


 さあ、夜は長い。まずは風呂が湯で満ちるまでの時間、今日の幸せな思い出に浸ろう。


 ――この時期のわずかに湿った夜の空気は、俺をセンチメンタルに陥らせる。

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