体力回復薬の使い方
(マッズ!)
不味いものは不味いが、陽国では二十歳は大人。
一気に飲み干す。
期待に目をキラキラさせる二人には申し訳ないが、効果なんて、、、
と思った時に俺の身体の周囲に緑色の光が出る。
光の矢印が下から上に向かって出ていくが、俺の身長を超えることはない。
「RPGの勇者みたいじゃん!」
「なんかカッコいいな」
と木村も渡辺も同じような反応を見せる。
「それでHPバーはどうなったの?」
「体力は回復したのかよ?」
この2人案外気が合うんじゃないか。
…いや、俺が二人の立場でも同じ反応する自信がある。
それはさておき、体力?体力って言ってもなぁ。
試しに立ち上がってみる。
もちろん疲れている、、、と思ったが、身体がスカッとしている。
…まるで疲れた翌日の朝にスカッと起きれた時みたいだ。
「身体が嘘みたいに軽いな」
さっきまで鬼ごっこで全力疾走していたとは思えない。
え、これマジで体力回復するやつだ。
なんか変な薬物じゃないよな?
いやその線はないか。だって、身体からHP回復するようなエフェクト出てたし。
「なんか、私たちマジで仮想世界に入ったって感じだね。」
「…どっちかというと電脳世界かもな。ある意味物理法則が無視されているような気がする。」
初めて枝分かれした俺以外の鬼2人。
悔しいがどっちの意見にも賛成だ。どんな物理法則を使ったって一瞬で身体からライトのエフェクトが出るようなものは出てこないだろう。
体力に関しても然りだ。
「便利だけど、これどうやって使う?」
残り時間も少ない。これに関してはよく話し合っておく必要があるだろう。
「それって3回戦以降も使えるのかな?」
「あーそれ注意書きに書いてある。どうやら二回戦のみ有効らしい。」
「俺はまだ体力が残っているからいらない。ドーピング検査に引っかかったらだるいし。」
渡辺の懸念ももっともだ。仮想世界のように感じられるこの世界だが、万が一この世界がよくできた現実のセットという可能性もある。
木村はさっきまで立てこもってたんだ。いらないだろう。
「やっぱり捕まえた人に配るのが賢明だろうねー幸司郎とか茶兎くんとかさっきで結構疲れてるっしょ?」
「茶兎のことだ、放送室にみんなを籠城させるんじゃないかな。」
渡辺の懸念はもっともだ。クラスメイト第一主義というのもあるし、シンプルにさっきの鬼ごっこで疲れてるしな。
「それはだいじょーぶです!私がカギを全部あらかじめ没収しておきました!」
木村が敬礼のポーズをしながら左で鍵束を見せてニヤッと笑う。
そういえばさっき裏で林ともめてたのそれだったのか。
そんなかんなで決まった作戦はこうだ。
残りの8本の<体力回復薬>は俺と木村で4本ずつ保持。これは、渡辺はドーピング疑惑に意地でも引っ掛かりたくないらしい──頑なに持つことを拒否された。
体力万全の俺と木村が鬼有望株──体力があって鬼ごっこに真面目に参加している仲間たち──さっき言った山口とかアイドルのほうの佐藤が該当する──に手渡して体力を回復してもらう。
ただし、この時誰に渡すかは俺と木村の各々の判断とする。
「最初はどこから攻めていくとか決めておくか?」
「かんけーねーよ。片っ端から捕まえるまでだ。」
「私の体力舐めないでよね。」
やっぱりこの2人仲いいですよね?
ということで、各々単独行動となった。
クラスメイトが散らばっていく。
俺たちは10秒カウントダウンに入る。
俺たちの卒業した第三小学校は正門の逆側に校舎があるので、居酒屋のほうをみながらのカウントダウンとなる。
さて、怪しいクラスメイトがいるかどうか、、、その前に自分が鬼として捕まえられるか、、、いっちょやるか!




