第一ゲームが何とか終わった訳なんだが。
『第一ゲーム終了』
その瞬間俺は倒れそうになるのをなんとかこらえた。
急に止まると心臓に悪いからな。
息を整えつつ正門へと戻ろうとする。
「はっはっは、お前ら普段から運動してないな、もしくは?」
若干息は荒れているが、まだまだ余裕そうな五百旗頭が高々と笑う。
こいつバケモンだよ。
今現在こんなに運動する20歳なんていないから。
正門にたどり着いて自分がいたボックス席へと倒れこむ。
とてもじゃないが座るなんてもんじゃない。
「瑞樹どいてくれ。俺も倒れたい。」
あとからやってきた幸司郎にお願いされる。
「反対側に倒れてくれないか?」
「そっちは茶兎で埋まってるんだ。」
茶兎はこんな状況でもクラスをまとめようとしていた功労者だ。
図書室に籠城するっていうアイデアも悪くなかったしな。
身体に鞭打ってなんとか動かして壁に寄りかかるところまで持っていく。
そうしたら左側に重荷。
おい幸司郎、俺は壁じゃない。
「お疲れ様。スポーツドリンクでもどう?」
いつの間にかそこに立っていた落合から有難くペットボトルのスポドリを三人まとめて頂く。
「「染みる~~」」
まさかの幸司郎とハモる。
山口も疲労を隠せてない表情でペットボトルを見つめている。
「今回生き残ったのは?」
「五百旗頭くんと渡辺くん、あとは向こうの3人。」
落合が向く方向を見ると放送室に籠城していた
木村、林、所等のほうの松井が歩いてきていた。
「こちとら最初から鬼だったんだから、もう少しなんとか優遇とかされませんかね。」
あ、幸司郎が遠い目をしてる。
おい、気をしっかり持て。
気絶するぞ。
『皆さん正門付近に集合をお願いします』
そう思っていると、人工音声から案内があった。
『今回の鬼ごっこで生き残ったのは5名です。』
さっき確認した通りだ。落合は本当によく見ている。
「るるはどこへいったいんだ?」
山口がつぶやく。るる、とは渡部のことだ。そういえばあいつはジャングルジムで寝てて、今は──
「なんだ、呼んだか?」
出てきた。結構奥のほうで寝ていたらしい。
こいつも体力お化けのはずだから夢想しようと思えば無双できるキャラなんだけどな。
「お前、寝てたのか?」
そのマイペースっぷりに半分呆れながら問う。
「なんだよ。別に真面目にやることが義務付けられているわけじゃない。
なんでもそこの3人組は放送室に立てこもってたらしいじゃないか」
その目線は先ほどの三人組に向けられている。
「なんで知ってるの。私たちが放送室に立て籠もってたって。」
食いかかってきた木村。
「答えなんてどうだっていい。
どちらにせよ、お前たちは勝負をしないことで自分が人間だっていうことを証明しようとした。
俺は最初だけやる気だしてサボることで証明しようとした。それだけだ。」
悔しいが渡部が言っていることも間違いだとは言い切れない。
このゲームでは自分がAI出ないことを証明すればいい。
だったら自分らしさを貫くのも一種の手段だ。
この場合、渡部は『馬鹿馬鹿しいことには参加しない』という従来の姿勢を貫いたわけだ。
そんな渡部にアイドルの佐藤が何かを言いたいような目線を向けていたが、いったん無視しておこう。
『皆様第一ゲームお疲れ様でした。
次のゲームは約90分後の12:30に始まります。30分前の12:00に追加ルールの説明を行います。』
そうだった。これ一回で終わるんじゃなかった。
計4回あったはずだ。これ体力もつかな。ペース配分も大事になってくる。
『その休憩時間、模擬投票を行います。今回のゲームを通じて人狼(AI)だと思ったクラスメイトに投票を行ってください。制限時間は30分。上位3人を次回のルール説明時に発表します。』
しかも実質的な休み時間がゼロで。




