確信
なんやかんやしていると次に来たのは幸司郎だった。
ちなみに、俺がこいつのことを下の名前で呼んでいるのは同じクラスに松井がもう一人いるからだ。
ちなみに、もう一人いるのはアイドルのほうの佐藤。
アイドルのほう、と呼んでいるのは佐藤もまたほかにもう一人いるからだ。
ほかにも山田が3人いたり、とややこしい。
しかもそのうち二人は漢字こそ違えぞ読み方が異なったりするからややこしいクラス編成だよな。
それでこそうちのクラスって感じなんだが。
話を戻そう。
ともかく次に来た幸司郎は店内を見渡して俺たちを見たら近寄ってきて、店の奥のほうを見たら態度を硬直させた。
…そういえば、こいつ佐藤のファンだったっけっか。
SNSの写真に写真集買ったとかなんとか上げて多様な挙げてなかったような。
まあ、このデジタルの時代にアナログの写真集なんて買うよな、なんて会話を──本当だったら機能するはずだったんだよな。
急に前髪とかいじり始めた幸司郎の脇腹を軽くつねって現実世界へと呼び戻す。
「いって、なんだよ。っていうかその食事なんだ?」
「…さっき俺も山口に教えられたところだ。なんかオーダーすると出てくるらしい。」
「もしかしたら君たちも家の冷蔵庫に何もなかったのかい?」
その山口の言葉にハッとする。
そういえばのどが渇いたから冷蔵庫のグレープフルーツジュース飲もうと思ったら冷蔵庫の中が空っぽだったんだよな。
「そうだけど、俺にはかんけーねな。朝ごはんは食べない派なもんだからな。」
それをかっこいいといわんばかりにカッコつける幸司郎。
ボックス席に浅く座ってモバイルYOHを操作する。
なんとなくでスクロールしていたのであろう手が止まる。
「なあ、これ。」
幸司郎がホログラム画面を可視化モードにしてこちらに見せてくる。
そこには『Proof』というアプリが表示されていた。
「『Proof』?こんな時に新しいアプリを入れたのか?聞いたことないけど。」
「いや、違うんだよ。いつの間にか入ってたんだ。伊藤も山口も見てみてほしい。」
そういわれ、俺も端末を立ち上げてみる。
確かにそこには見覚えのないアプリがインストールされているのが分かった。
興味本位でアプリを立ち上げてみる。
「これは、、、」
出てきたのは何かしらの配信アプリのようなもの。
もしかして、これが配信者の活動媒体?
画面をスワイプするとクラス全員の名簿が出てくる。
また、ホーム画面に戻ってくると更新通知が一つ。
「『あややのProof初配信!』…アイドルの佐藤の配信…」
「これが配信者ってか。あそこに阿弥はいるんだよな。」
俺と幸司郎の目線は自然と当人へ向かう。
本人は後から来た、女子二人と話しているところだ。
「百聞は一見に如かず、ってやつだろう。聞きに行ってみるよ。」
そう言って山口は店の奥へと進んでいく。
「ちょっといいかい?そこの3人グループと山田 百合さん」
俺たちは固唾をのんでその様子を見守る。
いくつかのやり取りの後に佐藤の顔が青ざめたのが分かった。
どうやら身に覚えがないらしい。
「なあ、幸司郎。」
「…もう疑ったりしないよな?」
「…そうだな、俺たちは結構ややこしいものに巻き込まれた。
そして、生き残るために全力で自分が人間であることを証明しなくてはならない。」
俺と幸司郎はお互いに向き合う。
「「お前は人間か?」」




