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第006話 レベル・アップ

「よしっ!」


 思わずガッツポーズが出た。

 苦労して倒した実感を全身で感じているハジメであった。


ぴろりんっ♪

「ん?」


 何か音が聞こえたので周りを見てみたが何も変化は無い。

 相変わらずシンと静まり返っている。


「何か聞こえた気がするが……」


 だが、ここで思い当たることがあった。

 ラノベの異世界物で良く見かけるステータスレベルが上昇した時の音ではないかと考えたのだ。


「ひょっとして、これはレベルがアップした知らせなのかもしれんな」


 ハジメの顔から笑顔が零れそうになる。

 いよいよ自分にも運が向いてきたのかも知れないと思ったのだ。


「ふっふっふっ……」


 何故か右手を右目の前に充てている。彼のお気に入りのポーズなのかもしれない。


「ステータス!」


 右手を掲げて大声で唱えてみた。

 別に手を掲げる意味は無いが異世界物小説の仕様であるのだから仕方がない。


「え……」


 何も変化が無かった。

 キーワードが違っていたのかも知れない。


「オープン!」


 右手を掲げて大声で唱えてみた。


「ええ……」


 何も変化が無かった。

 右手ではなく左手なのかも知れない。


「通知! 状況! 状態! 明太子!」


 左手を掲げて思い付いた言葉を次々と大声で唱えてみた。

 自分の情報を表示させようと思いつく限りの単語を叫んだが何も変化が無かった。


「駄目なの?」


 何も変化が無かった。ただ風がダンジョンの中を渡っていくだけだ。


「トホホホ……」


 ハジメはリアルにとほほと言う奴であった。


「まあ、いいや。 とりあえずはスライムを倒すことが出来ると分かったしな!」


 腰に手を当て強がりを言ってみる。少し涙目なのは愛嬌だ。


 ハジメは岩を退かせて下を見てみた。本当にスライムを倒せたのかちょっと不安になったからだ。

 すると、岩の下には透明で丸い球状をしており球の真ん中あたりに星状の筋が見える。


「これが魔石って奴なのか?」


 魔石は魔物の体内で濃縮された魔蘇が結晶化した物である。

 だが、ハジメにはその概念はまだ解っていなかった。


「まあ、記念に持っておこうか……」


 ハジメはポケットに魔石をしまった。


「よしっ、もう一匹」


 もう一度スライムを倒せるのかを検証しようと感が手ていた。

 要領が解ったので先ほど使った岩を持ち上げて二匹目に向かっていった。


みょーーん、ぷちゅっ


 一匹目と同じく伸びるのが限界に達したスライムは弾けていった。

 スライムを倒した後には、一匹目と違うの魔石が落ちている。

 青みがかったガラス状の石が落ちていた。石の形は五角形でボタンに似ている。


「あれ? さっきと違う魔石だ」


 先程の石を取り出して比較してみる。


「こっちが魔石っぽいな……」


 二匹目の魔石を見ながら呟いた。

 一匹目と二匹目でドロップした魔石が違っていた。

 一匹目は丸い球状の魔石で二センチぐらいのビー玉みたい。

 しかし、二匹目はザッ魔石といった感じの小指サイズの石であったのだ。


「じゃあ、これはオーブ魔石って奴なのか?」


 丸い球状の魔石を見ながらそう思った。いかにもオーブという感じがしたからだ。

 ならば、何故一匹目にコレが出てきたのかをハジメは考えた。


「もしかして……ドロップアイテムってやつ?」


 ハジメはオーブ状の魔石を右手に持って光に透かせて見てみた。


「なんだろ? オーブ魔石??」


 特別な物であるのは確かだ。だが、使用方法も用途も不明なのだ。

 何に使う物なのだろうかと考えた時にポツリと言葉を漏らしてしまった。


「使う……」


 ボソッと呟くとオーブ魔石が光りだした。

 粒状の光がオーブ魔石から次々と溢れ出してくる。


「え?」


 するとオーブ魔石が溶け出し右手の中に消えていこうとしている。


「わっわっわっ」


 ハジメは慌てて手を振り回した。しかし、オーブ魔石は右手に張り付いたままだ。


「やめろーーー」


 剥がそうと左手でオーブ魔石を掴むが、光ったまま右手の中に消えていった。


「げげげげっ!」


 誰がどう考えても拙い自体になってしまったようだ。

 ダンジョン内の得体の知れない物が体内に吸収されてしまったのだ。


「ど、ど、ど、どうしよう……」


 ハジメの額から滝のように汗が滲み出てくる。

 怪しげな現象が起きたのだ。誰だって動揺してしまう。


「と、父さんに相談しようか……」


 だが、ここで気が付いた。このダンジョンのことは誰にも言っていないのだ。

 そこから話さなければならない。しかも、正体不明の謎のコンニャク(スライム)が湧いている洞窟だ。

 両親に激怒されるのは目に見えている。


「そうすると、ここに潜れなくなる可能性が高いな……」



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