第043話 カベラスの図書館
ハジメは第三階層の探索を続けた。スライム狩りを続行する事にしたのだ。
現状、魔法スクロールは持っていないので、これ以上は石像に何かすることは無かった。
ドローンで上空から偵察してスライムを見つけたら退治していく。
「魔法スクロールが欲しいな……」
魔法スクロールには魔術が記載されているとあった。
魔術とは魔蘇の力を使う方法が定義されていて、それを魔力で実行させることが出来るのだという。
それらの一連の体系が魔法と定義されているようだ。
「なるほど……」
頭から湯気が出そうであった。
それでも魔蘇・魔力・魔術・魔法の関係性が明らかになった気がした。
理解できたのと使えるのとは別物だ。
「じゃあ、まずはオーブ魔石をドロップさせるか……」
問題は都合良くスライムが魔法スクロールのオーブ魔石をドロップしてくれるのかである。
「前のときは傀儡廻しだったもんなあ……」
シン・スライムプレスで、経験値獲得を行っている時にドロップしたオーブ魔石の事だ。
スライムを二百匹以上退治していたので頻繁にドロップする物では無いと考えていた。
「しかも、未だ役に立ってないし……」
使い方も使い所も不明の能力であった。
人形を使えるとあったが自宅に在った人形では動かなかった。
ハジメは人形など持って無かったので、妹から借りたのだが不審がられてしまった。
人形に向かって『飛べ』『動く』『ムーブ』などとブツブツ言っていたのを見られていたらしい。
「宝箱を探し出すか……」
時々、シン・スライムプレスを動かしに第一階層まで戻る。
経験値獲得しつつ第三階層でのスライム探索を続けた。
そして累計で五十匹になったところで再び転移魔法陣にやってきた。
「さて、規定匹数になったと思うぞ?」
魔法陣の真ん中で息を整えた。
「第四階層に転移!」
何故か右手を高く掲げて叫んだ。
しかし、魔法陣は赤く光っただけで転移した様子は無かった。
「まだ、駄目なの……」
ハジメは魔法陣を鑑定してみた。
すると『制限:許可されていない階層です』と表示されていた。
「五十匹以上の必要が在るのか……」
ガックリと肩を落としてしまった。
「五十が駄目なら五十五とか五百とかかなあ?」
取り敢えずは出来ることを続けることにした。
「問題は第三階層のスライムが何匹なのかが分からない所だよな」
しかも、この階層はスライムを探し辛いと来ている。
全体的に生えている草は、膝の辺りまで伸びている。
なので、大きめのスライムと言っても見付け辛いのであった。
「スライムを全滅してみるしかないのかもな……」
単純に匹数だと考えていたが、そうでは無いようで全滅させるのが引き金なのだろうと推測した。
第一階層では十匹。第ニ階層では二十五匹。
ハジメは滝壺のところまでスライムを探しつつやってきた。
「ここが何なのかも気になる」
ハジメは思い切って服を脱ぎだした。
潜ってみる事にしたのだ。川岸からは水面が反射して魔法陣の概要が見えない。
全体像が見えないと鑑定が効かないためだ。
「よし、ちょっくら潜ってみるべ……」
腰を振ってクルクルと回して(何をだ?)から潜った。特に意味は無い。
どうせ、ダンジョンには誰もやって来ないので人目など気にしないのであった。
なお、着替えを持ってくるのを忘れたていたのは内緒だ。
「ボコボコーボココ!(魔法陣を鑑定)」
別に考えるだけ良かったのだが、律儀にも口に出してしまったようだ。
鑑定の結果は以下の通り。
名称:ペルティエの滝壺
機能:亜空間転移
状態:休止中
制限:魔法を使用出来る者
・五大魔蘇エレメント(聖霊有効・火有効・水有効・風有効・土有効)
・ダンジョン名称(原初の迷宮)
・機能:カベラス図書館への入口
・状態:一時停止
・加護:無効
・■■:■■■■
少し水を飲んでしまったハジメは慌てて水面に戻った。
滝壺の魔法陣は『カベラス図書館』への入口となっているようだ。
だが、期待した第四階層へのトリガーでは無かった。
「違うのか……」
川岸に上がったハジメはタオルで身体を拭いてからスゥエットを着た。
少し期待していたが違うことが分かって肩を落としている。
「しかし、亜空間転移って……何処に飛ばされるんだよ」
試してみたい気もするが、問題点が多々ある。何より魔法陣が水面から三メートルほど下にあるのだ。
川の水流に逆らいながら辿り着くのは容易なことでは無い。
しかも、水没しているので転移の時に周りの水も転移してしまう可能性があった。
「図書館と在るからには本があるんだよな?」
本を水に濡らしてしまうのが非常に良くない事はハジメでも分かる。
「あの魔法陣の周りを川から独立させる必要があるのか……」
堤防みたいな本格的な工事が必要である。素人のハジメには無理難題であった。
「でも、図書館にある本の内容は知りたいんだよな」
ハジメの知識欲を十二分に刺激したのであった。




