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第002話 洞窟探検

 ハジメは洞窟に近寄ってみる。

 母親の言い付けで良く山菜採りや体を鍛える為に裏山に出入りしていた。

 なので家族の誰よりも詳しいと自負していた。


「んー、昨日山菜を取りに来た時には無かったよな……」


 きっと、先程の地震で発生した可能性が大きい。


「……」


 ハジメは身長が172センチある。標準的な背の高さだ。

 その頭上三十センチぐらいが天井なので入口の高さは二メートルと言った感じだ。

 横幅は両手を広げても届かないくらいなので一メートル半ぐらい。


「……」


 石を拾って投げ込んでみた。こういった洞窟には獣が潜んでいる事が多いからだ。

 狐や狸ならともかく熊だと全力で逃げなければならない。

 特に子育て期間中の母熊の戦闘力は家の母親の次ぐらいに強い。


「……」


 暫く洞窟の入口で警戒していたが、何かが飛び出してくることは無かった。

 ハジメは傍にあった枯れ枝の棒を手にした。蜘蛛の巣除けにするのだ。


「ちょっと、中を調べてみるか……」


 ただ、洞窟が有ったと言っても信じてもらえない。せめて奥行きが何の位なのかを調べる必要を感じたのだ。

 穴に近づき耳を澄ませてみる。動物の唸り声とか聞こえたら退散する積りであった。


「…………」


 何も音は聞こえてこない。

 小心者のハジメは少しビビってしまっていた。

 何しろ未知のものに挑むのだか仕方あるまい。


「ええい! 男は度胸!!」


 ハジメは一歩足を踏み入れた。

 洞窟に一歩足を踏み入れたハジメは、洞窟の壁は岩がゴロゴロと見えており無骨な印象を受けた。

 そして空気はどこか重く、触れた壁はどこか冷めたく感じる。


「流石に初見だとビビっちまうよな……」


 ハジメは腰が引けたような感じで洞窟の中を歩き出した。


「臭くは無い……」


 獣などが潜んでいたら獣臭がするものだが、この洞窟の空気はどちらかというと無臭だ。

 空気の循環が少ない洞窟特有のカビ臭さも無い。やはり出来たばかりのようだ。


 ハジメは手に持った枯れ枝で壁を突いてみた。

 カンッと乾いた音が聞こえる。叩いてみても似たような音だ。


「硬いな……」


 壁は削り取ることが出来ず、特殊な土で出来ているような印象を受けた。


 ハジメは洞窟穴内部の壁を右手で伝いながらソロリソロリと進んでいく。

 左手には伝説の武器『エクスカリバー』……ではなく枯れ枝の棒っきれ。


 その棒っきれで前方の空間をグルグルと探っていく。蜘蛛の巣を除けるためだ。

 穴内部の奥の方は真っ暗で、いかにも何かが出てきそうな雰囲気があった。


「いや、何か暗くなるし……」


 しかし、奥に進むに連れて段々と暗くなっていく。それに連れて横幅が増えていった。

 岩の壁がむき出しとなった洞窟の大きさは横幅が六メートル程になっていた。

 これは普通の二車線道路位の幅員だ。


「ちょっと、コレ以上は無理かも知れない……」


 だが、光源が無いし太陽光も中まで届かない以上は暗いのは道理である。

 洞窟から十メートルも進むと、もう漆黒の闇と言った感じだ。


 一抹の不安が過よぎるなか洞窟内を歩み進めていくと、振り返ると薄っすらと出入口の光が見える。


「一旦、家に帰って懐中電灯を持ってくるか……」


 もはや足元すら見えない。このままでは転んで怪我するかもしれない。

 ハジメは一旦引き返す事にした。


 ところが足元に何かが有るのに気が付いた。


「ん?」


 何やら白い球状の物が見える。

 野球ボールより少し小さいぐらいで、洞窟の地面に直接生えている印象を受けた。


「キノコかな?」


 不思議に思ったハジメは棒っきれで突っついてみる。

 少し弾力があり棒っきれを押し戻す感触があった。


「んー」


 かつて、同居していた祖父に山菜やキノコの見分け方を聞いていた。

 今は施設に入所してしまったが、知らないキノコには触れてはならないと言われて育った。


「初めて見る種類のキノコだな……」


 棒っきれから伸びている小枝を折って突いてみた。

 丸い球状のものはゼリー状のみたいでプルプルした弾力を感じていた。


「柔らかい……」


 ハジメは小枝を少し強く差し込んでみた。

 すると、コンニャクに箸を刺したような感んじ小枝は刺さってしまった。


「お……」


 小枝は刺さったまま丸い球状のものに吸い込まれて行く。


「おおおぉぉぉ……」


 ハジメは小枝が吸い込まれていく様子をジッと見入ってしまっていた。

 これはキノコでは無いとハジメは確信しはじめていた。


「謎のコンニャク?」



カクヨムさんでも先行投稿してます

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