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第018話 ご利用は計画的に

 翌日、昼休みの屋上でハジメは自分のステータスを見ていた。

 外でスキルを使う為には、魔石が必要な事は昨日学習した。

 なので、魔石は神社のお守りの中に入れて、紐に括り付けて首に掛けてある。

 持ち物の抜き打ち検査でバレても平気なように偽装したのだ。

 もっとも、魔石をパワーストーンだと言い張れば平気な気がする。だが、今回はお守りにした。


「ふふふ、抜かりは無いぜ……」


 エアメガネをクイッと上げながら呟く。

 青空に浮かぶステータスパネルはシュールな光景だなと一瞬思った。


「んー……」


 しかし、ハジメは浮かない表情でステータスパネルを見ていた。


名前:石垣一イシガキハジメ

階級:1

HP:5/5

MP:1/1

BP:1.061

状態:正常

職業:謎こんにゃく技探求者

筋力:2

頑丈:2

敏捷:3

魔力:1

知力:1

幸運:1

特技:(鑑定:初回特典)


 BPと職業以外に変化は見られない。


「BPが2に上がればステータス全般が上がると思うんだよなあ」


 BPが2になると階級が上がるとハジメは思っていた。

 ラノベ的展開では『をを!力が強くなったぞ!!』な出来事を期待していた。


「でも、スライムから得られるBPが低過ぎ……」


 スライム一匹のBPは『0.001』だ。単純に千匹のスライムをやっつける必要がある。

 其の為には残り949匹分だ。


「949……という事は95回のリポップと討伐が必要ってことだよな」


 95回分のリポップには237.5時間かかる。

 学校から帰宅してスライム刈りするのは一日に三回程度が限界だ。

 これでは階級を上げるのに一ヶ月近くかかってしまう。


「うーん、何とか楽にレベルアップする方法が無いもんだろうか……」


 やはり、スライムだけで階級を上げるのは難しいようだ。


「下の階層に向かえば強い魔獣が出てきてBPも稼ぎやすくなるはず」


 他の階層へ続く階段のような物は、未だに見つかっていない。

 予言の書である異世界ノベルでは、下の階層からは経験値が高い魔獣が出現すると有る。

 ダンジョンが出現したのだから違う魔獣が現れるとハジメは考えていた。


「でも、下に行けないんだよなあ」


 ひょっとしたら一階層で終わる『スライム専用ダンジョン』なのかと思い始めていた。


「まあ、スライムに苦労しているのにゴブリンとか出てきても困るんだが……」


 最初の頃、苦労してスライムをやっつけていたが、今はそうでも無い。

 だが、殺意を持って向かってくる相手に戦えるのかと言われると自信が無かった。

 現代社会で体を使った闘争など皆無に近いので仕方が無い事だ。


 職業欄へのツッコミは止めておく事にした。触れたら負けだと考えることにしたのだ。


「後は魔法を使う方法だが……オラわがんね」


 本には体内に流れる魔力を意識して指先に集めると書かれていたが、そもそも魔力自体が正体不明である。

 磁力や重力を指先に集めろと言われているのに等しい。無理だ。


「やっぱり、ラノベじゃ参考にならないのか……」


 当然である。それでもハジメはラノベを読むのを止めなかった。

 何かしらのヒントが有るかも知れないと、藁にもすがる思いであったのだ。


「まあ、レベルが上がれば使えるようになるかも……」


 ハジメは効率良くBPを取得する方法を考え始めた。

 そして、午後の授業はレベルアップの効率化を考えるだけで頭がいっぱいになってしまった。



 学校を終え速攻で帰宅してきたハジメはダンジョンへとやってきた。

 洞窟内に魔石が無くてもスライムが再発生するのかを確かめる為だ。


「ふふふ……考えた通りになっていたぜ……」


 洞窟内を見て回るとスライムは発生していた。

 やはり、魔獣は魔石に依らずに発生することは可能なのだ。


「ふむふむ、推測した通りに五の倍数縛りが存在しているな……」


 つまり、魔石をダンジョンから出してダンジョン時間の五日間経過すれば発生することが判明したのだ。

 まるでマッド・サイエンティストのように、顎に手を充てながら頷きながらダンジョンを歩き出した。


「1…………9……10……そして11!」


 考えた通りの結果にハジメは嬉しくなり、意気揚々と足元のスライムを指差しながら数えている。


「……?」


 だが、最後まで数え終わった時。妙な違和感を覚えた。


「…………」


 新規に発生するのが九匹。持ち込んだ魔石が一つだから全部で十匹のはず。


「あえ?」


 スライムが一匹多かったのだ。


「……」


 変なコンニャクがポヨンポヨンしている。


「分裂……ブレークアップしたんじゃね?」


 何時ものように新しい謎に遭遇してしまった。


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