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第016話 魔獣発生縛り

 ハジメは一旦ダンジョンの外に出てきた。

 検証したい事があるからだ。


「魔石が無い状態でもリポップするのかどうかだな」


 今日、ダンジョンの中で取得した魔石は、全てハジメのポケットの中にある。

 それでもスライムが湧くようであれば、魔石に依らずに出現する方法があると推測している。

 それが何なのかが知りたいと思ったのだ。


「まあ、分かったからどうするって事は無いけど気になるからな」


 気になった物はしょうがないとハジメは考えていた。


 ハジメがダンジョンに初めて潜った時から十匹のスライムしか見ていない。

 定期的に湧いて出るのなら、もっと数が居ても良いはずだと思っていた。ところが違っている。

 ならば、魔石が無くてもスライムが出現する方法が絶対あるはずだと推測していた。


「出現していなかったらダンジョンには、魔獣が発生する数に縛りが存在するって事だよな」


 それはそれで新しい発見だとワクワクしている。

 自分だけが知っている秘密……ハジメの厨二心を刺激してしまうのだ。


「そうだ、雷鎚を改造する準備をしないと……」


 待っている間、暇していてもしょうがないので家に帰って旅行カバンを持ってきた。

 父親が使っていた物だが、取手の部分が取れてしまい納屋の中に捨てていたものだ。


「んー、車輪は無事だから使えるだろ」


 不要なカバンの上蓋を外して雷鎚を載せられるようにした。

 本当は父親がキャンプブームに乗って購入したキャリーカートが使いたかったが、無断で使う事は出来ない。

 二回だけ使ったキャリーカートは納屋の中で埃を被っていた。

 納屋が無駄に大きいので、使用しなくなった道具が山のようにしまわれていた。


「キャリーカートだったら色々と持ち運ぶのに便利なんだがなあ……」


 本人は仕事が忙しいと言っていたが、飽きたのだろうとハジメは推測していた。

 キャンプといってもテント張って飯を喰ったらやることが無いのだ。

 結局、寝袋に入ってスマートフォンを弄るだけなので自宅に居るのと変わらなかった。


 母親と妹ははしゃいでいたがハジメは退屈で仕方が無かったのだ。

 二回目は断って留守番していた。

 興味をそそられる物に飛び付くのは親譲りなのかも知れない。


「キャリーカートを何に使うのかと聞かれたら拙いからなあ」


 拙いというか面倒くさいと思ったのだ。親にアレコレ干渉されるのが鬱陶しい年頃なのである。

 ハジメはダンジョンの事を家族に言うつもりは無かった。


 ハジメは時計を確認すると三十分が経とうとしていた。

 以前の計測でリポップしていると思われる時間経過だ。


「さあ、どうだろうね……」


 ハジメはダンジョンの中に入ってスライムを探したがスライムは居なかった。


「やはり、魔石が無いとリポップ出来ないのね……」


 予想通りの結果にハジメは満足している。

 次に調べたい事は自然発生するのは何の位の時間が掛かるかだ。


「前にスライムを殲滅した翌日にはスライムが湧いていたよな……」


 それとスライムが発生する数だ。制限が本当にあるのか知りたかったのだ。


(夜中に来て日付跨ぎの時に、出現するかどうかを見ておいた方が良いかも……)


 今のところダンジョンで算出した物の利用方法は確立していない。

 魔石からエネルギーを取り出せると、ネット小説で良く読むが現実には無理だ。


 魔獣を発生させる依代である事は分かっているがそれ以外は不明である。

 本来なら学者などに渡して調べるべきだが、ハジメにそのつもりは無いのである。


 恐らくはダンジョンの石以上に硬い石頭に、ダンジョンとは何かを説明しないといけないからだ。

 利権に結びつかない謎には興味は無いだろうと判断していた。


(それにダンジョンが存在するのは唯一だからな)


 占有されてダンジョンへの出入り禁止を言われるのが嫌なのが大きい。

 それに『魔蘇』という感知出来ない力を説明するのも面倒くさいと感じていた。

 人は目に見えないものは信じないものだ。


(まあ、見えていても信じない奴が多いけどね)


 危険なのは確かだが、いざとなったら洞窟の入口を塞いでしまえば良いと考えていた。

 塞ぐ方法はこれから考えるとして、ハジメは魔石の検証を考え始めた。


(俺個人がダンジョンと称してるだけだしね)


 ハジメとしては愛読しているネット小説のような事が起きるのかを確かめたかった。

 知らない出来事を体験できるのだ。


(こんな楽しい事はないよな)


 未知への挑戦に、ワクワクを抑える事が出来なかった。


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