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第013話 リポップという現象

 ハジメが魔石を見つめていると黒い霧が立ち上がった。

 黒い霧が渦を巻き始める。すると今度は魔石に向かって落ち始めた。


「んー……」


 ハジメが不思議そうに魔石を視ていると、魔石はぼんやりと白く光りだした。

 黒い霧は渦巻きながら一際輝いたかと思うと消えた。


「おおおぉぉぉ……」


 消えた渦の跡にはスライムが出現していた。

 生まれたて(?)のスライムはツルツルとしている印象を受けた。


「へぇ~、これがリポップと言われる現象なんだ」


 ネット小説で得た無駄な知識と考えていた物。『リポップ』現象。

 その、初めて見る『リポップ』を目の当たりにして関心ている。


「このリポップは外世界でも発生するのかな?」


 ハジメは改めて出現したスライムを観察していた。

 ちょっと触ってみたい気もするが、触れると攻撃してくるので我慢している。


「魔石を依り代にして魔蘇を具体的に顕現化させるのがリポップっていう事なのかな……」


 魔獣をやっつけると魔石が残って、その魔石を核にして魔獣が出現する。

 黒い渦に見えるのは魔蘇が集まっている物なのだろうと推測した。


「じゃあ、元の魔石ってどうやって出来るんだろ?」


 鶏が先か卵が先かのような疑問を抱いた。


「洞窟の中に埋まっているとか……」


 ハジメは洞窟の壁や天井・地面を懐中電灯で照らしてみる。

 しかし、魔石のような物は見つからなかった。


「まあ、良いか……」


 ゴツゴツとした岩肌を眺めていたが直ぐに違う問題に関心が向く。

 これから観測する事にして次の課題に取り掛かることにした。


「リポップするの間隔はどの位だろう?」


 ハジメはキッチンタイマーをゼロにしてから、今出現したばかりのスライムをやっつけた。

 取り敢えずは二時間程度だろうとは考えている。


「待っている間に武器を制作しておこうか……」


 今、使ってるのはダンジョンの中で拾った石だ。一抱えもある重い石である。

 正直抱えて歩くのは少し不便に感じていた。

 そこで、見て回った時に小部屋にあった手頃な石で、武器作りが出来ないかと考えたのだ。


「木の棒に括り付けて斧みたいにすれば良くね?」


 などと、単純に考えていた。

 ハジメは石の小部屋と呼んでいる部屋まで移動した。


 相変わらず乱雑に石が転がっている部屋であった。


「手頃な石ないかな……」


 ハジメがイメージしているのは石器時代に作られた石斧である。

 なので、長い石が必要であった。大きさも一キロ以内がベストである。

 それ以上だと非力なハジメでは、石斧を振りかぶったまま倒れてしまう自信がった。


「うん、これが良さ気だな」


 適当な石を見つけて持ってきた木の棒にビニール紐で括り付けた。


「ハジメストーンアックスの出来上がり~」


 まあ、木の棒に石を括り付けただけだ。

 ハジメは早速振りかぶってみた。


ぼとっ


 石は紐からすり抜けて後ろに落ちてしまった。


「………………」


 木の端側を少し切ってYの字状にして石を挟み込んでから紐で縛ってみた。

 耐久性に問題がありそうだが大丈夫な気がする。


「いや、落ちは要らないからね……」


 気を取り直して振りかぶってみると今度は大丈夫そうだ。


「よし!」


 ハジメは石斧を肩に担いでスライムを狩って回った。気分は狩人である。

 重い石を抱えながら移動するのと違って身体への負担は少ない。


「……」


 しかし、ハジメの顔は冴えなかった。思った以上に手間が掛かっているのだ。

 重い石なら一撃か二撃だったが、石斧だと三回程叩かないとやっつける事が出来ない。

 やはりネット小説の通説通りに、スライムは物理耐性が強いのかも知れない。


「うーん、出来れば一撃で狩ってしまいたいんだが……」


 石斧はまだまだ工夫が必要そうであった。

 ハジメは石部屋に行ってもう少しマシな石はないかと探して回ったが無かった。

 希望したのは長めの石。出来れば真ん中が少し窪んでいて木の棒に括り付けやすそうな石は無かった。


「まあ、しょうがないか……」


 ハジメは時計を確認すると二時間半が経とうとしていた。

 一つの事に夢中になると時間を忘れるのがハジメである。


「ああ、リポップを確認しにいかないと……」


 スライムがぷよぷよ動いているのを見て、リポップしているのを確認した。


「やはり、ダンジョン時間で二時間半なのか」


 ハジメはスライムを石斧で潰し、その魔石の上に石斧を置いた。

 今度は魔石の上に邪魔なものがあるとリポップするかどうかを調べる為だ。


「じゃ、結果を見るのは明日だな……」


 お腹も空いて来たので家に帰った。



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